今春初任給を引き上げた企業は51.5%と半数超
   
カテゴリ:経営
作成日:10/17/2016
提供元:21C・TFフォーラム
  


 今年3月に卒業した新規学卒者の新入社員の初任給を前年より「引き上げた」企業は51.1%となり、昨年(57.9%)に引き続き半数を超えたことが、日本経団連が実施した「2016年3月卒新規学卒者決定初任給調査」結果(有効回答数493社)で分かった。内訳としては、「賃金改定後引上げた」が83.4%と大勢を占めた。初任給を引き上げた企業の割合が2年連続で半数を超えたのは、2000年以降で初めてのこと。

 一方、初任給を据え置いた企業の割合は、1994年(17.6%)~2003年(91.4%)にかけて多少の変動をしながら増加。04年(88.3%)~08年(52.0%)は景気回復等により減少傾向となったが、08年秋からの世界同時不況等の影響で09年(87.0%)に急増し、以降10年から13年まで4年連続で9割を超えていた。今年は、15年(41.9%)から6.6ポイント増加したが、48.5%にとどまった。

 初任給の決定に当たって最も考慮した判断要因は、この項目の調査を開始した2007年以降、「世間相場」(28.5%)と回答する企業が最も多く、「在籍者とのバランスや新卒者の職務価値」(20.3%)が2番目に多い傾向に変化はない。このほか、「人材確保観点から決めた」企業(16.1%)が1.8%ポイント増加し、3番目の判断要因となった。人手不足などを背景に、予定採用数の確保のため、他社の水準を見極めながら初任給額を決定する企業が年々増えてきている。

 学歴別の初任給の引上げ額は、820円~1609円となり、短大卒(技術系)と高校卒(現業系)を除く多くの学歴で1000円を超える引上げとなった。この結果、大学院卒(技術系)の初任給額が、同調査開始以来、初めて23万円台を記録した。対前年引上げ率は、0.56%(高校卒現業系)~0.72%(高校卒事務系)。リーマン・ショックの影響等で2009年から0.1%前後の低い引上げ率が続いたが、14年以降は3年連続の高い伸びとなっている

 大学卒事務系の初任給を産業別にみると、製造業平均は21万4822円で全産業平均(21万3892円)を上回っており、個別では10産業中、「石油・石炭製品」の24万2551円など3産業が全産業平均よりも高い金額だった。一方、非製造業平均は21万2664円と全産業平均を下回っており、全6産業で全産業平均よりも低い結果になった。

 同初任給調査はこちら