仕入価格の上昇は弱まりつつあるも価格転嫁進まず
   
カテゴリ:経営
作成日:02/01/2017
提供元:21C・TFフォーラム
  


 日本政策金融公庫が飲食業、理・美容業などの生活衛生関係企業を対象に昨年9月上旬に実施した「価格動向に関するアンケート調査」結果(有効回答数3103社)によると、仕入価格の動向は、「上昇した」が46.5%と、2期連続で前年同期を下回ったものの、依然として全体の約4割を占めている。業種別にみると、「上昇した」の回答割合は、「飲食業」(65.2%)、「食肉・食鳥肉販売業」(62.7%)では6割を超える。

 仕入価格上昇の背景(2つまで回答)は、「天災・天候不順」が34.6%、「原材料等の生産量の不足(天災・天候不順は除く)」が29.3%、「外国為替レートの変動による輸入品価格の上昇」が29.2%の順に高い。仕入価格上昇への対策(複数回答)は、「諸経費(人件費、光熱費等)の削減」が38.5%、「原材料等のコスト管理の徹底(廃棄ロス削減など)」が34.8%、「仕入先の変更」が31.1%の順に高い。

 仕入価格上昇への対策で効果的だったもの(2つまで回答)では、「諸経費(人件費、光熱費等)の削減」(36.4%)、「仕入先の変更」(31.0%)、「原材料等のコスト管理の徹底(廃棄ロス削減など)」(28.4%)、「販売価格への転嫁」(18.8%)の順に挙げる企業が多かった。また、仕入価格上昇分の販売価格への転嫁についてみると、「全く転嫁できていない」と回答した企業が55.4%と全体の5割を超えた。

 業種別にみると、「全く転嫁できていない」との回答割合は、「クリーニング業」(68.8%)、「飲食業」(58.2%)、「ホテル・旅館業」(55.6%)の順に高い。一方で、販売価格の動向については、「引き上げた」が14.5%と、2期連続で前年同期を下回ったものの、依然として「据え置いた」が83.2%と全体の約8割を占めている。業種別にみると、「引き上げた」は、「食肉・食鳥肉販売業」(49.3%)が圧倒的に多い。

 同アンケート調査結果はこちら