順調に改善続く中小企業の資金繰りと借入状況
   
カテゴリ:金融
作成日:07/21/2015
提供元:21C・TFフォーラム
  


 信金中央金庫の地域・中小企業研究所がとりまとめている全国中小企業景気動向調査によると、中小企業の「資金繰り判断DI」は着実に改善し、リーマンショック以前の最高水準を上回っている。「資金繰り」感をみる有効な指標として、「資金繰り判断DI」があるが、この指標は、資金繰りが「楽」と回答した企業の割合から「苦しい」と回答した企業の割合を引いたものであり、数字が低下すると「資金繰り悪化」とみる。

 全国中小企業景気動向調査結果によると、中小企業の「資金繰り判断DI」は2008年のリーマンショックを受けて大幅に悪化したものの、緊急保証制度や金融円滑化法などの資金繰り支援策により持ち直し、その後は景気の回復を受けて改善の傾向がみられる。直近の景気動向調査(2015年4~6月期)において、「資金繰り判断DI」は▲9.7と、リーマンショック以前の最高水準▲12.0(2006年4~6月期)を上回っている。

 業種別では、建設業で改善が目立つ。ただし、従業員数10人未満の規模の小さい企業では、資金繰りが「苦しい」と回答した企業が全体を上回っており、規模間で差がみられる。また、「借入難易度」感をみる有効な指標として、「借入難易度判断DI」があるが、この指標は、借入難易度が「容易」と回答した企業割合から「難しい」との回答した企業割合を引いたものであり、数字が低下すると「借入難易度悪化」とみる。

 中小企業の「借入難易度判断DI」を時系列にみると、「資金繰り判断DI」と同様、2008年のリーマンショックを底として、着実に良化傾向にある。また、2015年4~6月期の「借入難易度判断DI」は▲2.3と、リーマンショック以前の最高水準▲1.7(2006年7~9月期)に迫る水準にある。ただし、従業員数の少ない企業ほど、「難しい」と回答した割合が高く、借入が困難とする小規模企業はいまだに多い。

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