海外展開関連制度の上半期利用者数が過去最高~日本公庫
   
カテゴリ:金融
作成日:12/01/2015
提供元:21C・TFフォーラム
  


 日本政策金融公庫はこのほど、平成27年度上半期における「海外展開・事業再編資金」の融資実績が、951社(前年同期比52.9%増)、144億円(同15.2%増)と社数で過去最高となったことを明らかにした。この要因として、積極的に輸出入取引に取り組む中小企業及び小規模事業者が増加していることや、今年度から取扱いを開始した外貨貸付について、米ドルの資金ニーズが高いことなどを挙げている。

 業種別では、「卸・小売業」(434社:構成比45.6%、前年同期比46.6%増)、「製造業」(308社:同32.4%、同35.7%増)が多い中、サービス業や情報通信関連企業も増加しており、海外展開する企業の業種の多様化がみられる。投資国別では、足元で中国における景気減速の懸念があるものの、依然として中国やASEAN諸国を中心としたアジア向けに海外展開する企業の利用が多く、約4分の3を占めている。

 アジア以外では、北米、特にアメリカに海外展開する企業の利用が増えている(前年同期比105.9%増)。増加の背景には、小売業者を中心に、越境ECの活用で、小ロットかつ低コストでアメリカ等の先進国に雑貨等を輸出するケースが増えていることがある。越境ECとは、インターネットを使った海外向け通信販売。アクセサリーや雑貨の他、電子機器、アニメ・漫画グッズ等の玩具・ホビー商品といった様々な商品が取り扱われている。

 また、日本公庫では、スタンドバイ・クレジット制度により、中小企業(海外現地法人等)の円滑な資金調達を支援している。平成27年度上半期は、メキシコと台湾でそれぞれ第1 号の信用状を発行し、全体で36社(前年同期比71%増)の実績となった。制度開始以降の累計実績は延べ158社となっている。スタンドバイ・クレジットとは、債務の保証と同様の目的のために発行される信用状のこと。

 さらに日本公庫では、平成27年4月から、海外展開や海外展開事業の再編に取り組む国内中小企業者に対して、外貨(米ドル)で融資する制度の取扱いを開始。平成27年度上半期の融資実績は52社(1893万米ドル)。同制度のメリットとして、

1)

外貨(米ドル)を直接借入でき、為替リスクを低減できる、

2)

融資期間は設備資金15年以内、運転資金7年以内で、長期の安定資金として利用できる、
などを挙げている。

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