地域銀行65行176店舗が空中店舗開設済み
   
カテゴリ:金融
作成日:09/28/2015
提供元:21C・TFフォーラム
  


 信金中央金庫によると、今年8月現在における地域銀行の地元外での空中店舗開設状況は、地方銀行で42行131店舗、第二地銀では23行45店舗となる。地域別では、176店舗中76店舗(43%)が東京都内、36店舗(20%)は大阪府内に立地しており、相対的に家賃の高い東京・大阪の特殊事情が店舗空中化の背景にある。ちなみに、東京都内の空中店舗は、立地では2階が多いものの10階以上の空中店舗も10店舗ある。

 一般に金融機関の店舗は、顧客の利便性を考慮し1階に営業窓口・ATMを置くか、1階を含めた複数階層に店舗を構える形態を採用している。これに対し空中店舗は建物の2階以上に店舗を構えるものである。空中店舗は、立地が2階以上なだけで、店舗種類は支店・出張所となる。また、フルバンクサービスを提供するものの、実質的には事業性融資に特化する法人特化型店舗に属することが多い。

 地域銀行が東京や大阪などに越境進出して新店舗を開設する場合、事業性融資の推進に特化するため、2階以上に店舗を構えるケースが増えている。地域銀行の空中店舗の開設動向をみると、平成13~14年頃にそれまで路面店だった東京支店などを空中店舗に移転する事例がみられた。また、近年は新規出店時から空中化する事例や、利便性を高めるため再開発ビルの高層階に移転する事例もある。

 地域銀行が空中店舗を開設する目的は、
1)法人特化姿勢の明確化、
2)コストの削減、
3)防犯・リスク管理
の強化などである。例えば、1)の法人特化姿勢の明確化は、ビルの2階以上に店舗を構えることで、事業性融資の推進に特化する狙いがある。融資セールスの場合、渉外担当者による訪問セールスが中心となるうえ、顧客は融資契約などを目的に来店するので、2階以上への昇降に不便を感じにくいとみられる。

 また、2)のコスト削減としては、物件費の面で、路面店に比べ空中店舗の方が格段に家賃も安い。口座開設手続きや現金の入出金が少ないので、従来型の支店のように巨大な金庫室の必要性は乏しいし、窓口の端末やATMなどの機器設置も最少に抑えられる。人件費の面では、空中化により少人数での店舗運営を実現しやすい。空中化して、窓口業務や後方事務に携わる(進出先で採用する女性)行員数を少なくする狙いがある。

 そのほか相続預金の流出対策として東京や大阪の空中店舗を個人富裕層の受け皿にする動きもみられる。空中店舗は、個人マス層の来店が少ないので、結果として時間をかけた、プライベートバンキング的な高水準のサービスを富裕層に提供しやすいとみられる。

 この件の詳細はこちら