3.会計事務所M&AのQ&A

第10回 M&A後の所長の処遇

Question

引継ぎのために事務所に残る期間は、業務を続けなくてはなりませんか?

Answer 今まで私どもがお手伝いしてきたM&Aでは、所長先生になるべく事務所に残ってほしいと希望されるケースがほとんどです。
事務所に残るからといって、経営のことを一緒に考えたり、業務を続ける必要はありません。
ご自身の趣味や、やりたい仕事等に自由に没頭できます。


Question

10年後には引退しようかと考えているのですが、どのような準備をすればよいですか?

Answer 会計事務所M&Aは、前述したように、しだいに売り手市場から書いて市場にシフトすることが考えられます。
現在の業界マーケットから10年後を予想すると、おそらく大半の事務所が、現在の条件よりも評価が下がっていると考えられます。
将来的に、事務所が成長していける見込みがなければ、基本的には今から相手先や条件を明確にして、その条件を保全するために承継契約を結んでおいた方が良いでしょう。


Question

M&Aをしても、できる限り働き続けたいのですが?

Answer M&Aを行うからといって、引退しなければならないわけではありません。
若いころと同じ仕事量とはいかなくても、懇意にしている顧問先だけ何件か担当するなど、無理のない範囲でマイペースで仕事をするという方法も可能です。
働きたいという希望をお持ちでしたら、それに合わせたM&Aの方法を取ることが可能です。


Question

できれば今すぐにでも辞めたいのですが可能ですか?

Answer どんな要望でも所長先生の目的に合わせた方法を取ることができます。
ただし、譲渡対価等の条件や引き継ぎの方法に大きく影響が出る場合もあるので、まずはアドバイザリーと相談した上で、どのような方法をとるか決めていきましょう。


Question

M&A後の所長の処遇は?

Answer 突然、所長先生が離れてしまうと、職員や顧問先は不安になります。
そのため、新事務所移行後もしばらくは、非常勤で通常業務は一切やらなくてもいいので、形だけでも所長先生に残ってもらいたいという要望を多く聞きます。その場合、譲渡対価とは別に、雇用報酬の額を決める必要があります。
まれに「経営や業務に口を出してほしくない」という事務所もあり、その場合はなるべく早めに引退していただくようになります。
しかしその場合、結局所長がいなくなると同時に顧問先が離れてしまい、譲渡対価が下がる可能性が高くなります。
職員の退職や、顧問先離れを防ぐことで、売上減少を防ぎ、結果として十分な譲渡対価を得られます。
よって、なるべく引き継ぎをスムーズに行うために、新事務所の以降を受け入れた方がよいでしょう。