3.会計事務所M&AのQ&A

第 9回 譲渡対価と条件

Question

M&Aによって、どのくらいの対価を得られるのでしょうか?

Answer 一般的には、事務所の年間顧問報酬をベースとして査定していきます。
相続や保険手数料などのスポットでの報酬は、譲渡価格に含まない場合が多いです。
また、売上の推移や顧問先の状況、顧問料の単価等を考慮して評価します。


Question

なるべく条件良く承継するにはどうすればよいですか?

Answer M&Aの条件を決める場合、現在の事務所の売上状況が一つの指標になっています。
そのため、事務所の状況が良いときほど条件も良くなります。
逆に、売上が減少傾向にあったり、事業規模が縮小している状況だと、条件が次第に厳しくなっていきます。
最悪「引き継いでくれる事務所がいない」というケースにもなりかねません。
また、事業承継で顧問先や職員を承継するためには、事務所のことを最も理解している所長先生がご健在で、しっかりと引き継ぎの体制を取れることがベストです。
ご体調が悪く、引き継ぎに満足にかかわれない状況では、顧問先や職員、引き継ぐ側の事務所も不安が大きく、失敗につながる可能性があります。


Question

引継期間中にもしものことがあった場合には、どうなりますか?

Answer 万が一、引継期間中に引き継ぎができない状況になったり、所長先生がお亡くなりになってしまった場合でも、譲渡対価については相続人に支払われるよう保証されます。
ただし、契約の際にしっかり明記しておかないと、後にトラブルになることもあるので、十分注意が必要です。


Question
私の身に何かあった場合には、古くからの知り合いに助けてもらうようにお願いしているのですが、何か注意することはありますか?

Answer 「お願いしている」というあいまいな形では、実際には何も解決していません。
「対価は発生するのか」「顧問先や職員はどう引き継ぐのか」など、実際に決めておかなければいけないことはたくさんあります。
また、引き継ぎ崎の事務所に発展させるための戦略がなく、その後尻つぼみになってしまったら、みんなが不幸になってしまいます。
「知り合いに後を任せる」と安易に手を打つのではなく、もっと視野を広げて事務所を成長させてくれる相手をしっかり選んでいきましょう。


Question
独立を目指している、または開業間もない若い税理士を入れて、自分でしっかり育てた上で引継ぎたいのですが?

Answer 経営をしっかりと託してサポートをする形であれば問題ないのですが、また一から育てたいという考えであれば、あまりお勧めは出来ません。
ノウハウを教えても、それに応えられる相手かを判断するために最低でも2、3年は必要です。
また、採用したはいいけれど、最終的に引き継げる資質がなければ、結果的に時間を無駄にしてしまう可能性があります。