1.会計事務所M&Aとは

第 4回 事務所の売上規模別に見たM&Aの特徴

 事務所の売上規模別にM&Aの特徴をまとめてみました。

1.1,000万円未満(かなり難しい)

 所長先生がお1人で顧問先を数10件前後見ているケース。徐々に顧問先を減らしてきた例も少なくありません。この場合、所長先生と顧問先の関係が深く「所長先生が辞めるなら一緒に廃業する」という一蓮托生的な顧問先も多く、引き継ぎのリスクが高いです。このクラスのM&Aは非常に厳しいです。


2.1,000万〜2,000万円(難しい)

 1.と同様に所長先生がお1人で、顧問先との関係が密接過ぎてしまう場合には厳しいです。しかし、職員が1人でもいて、まだ引き継ぎの見込みがあるようであれば、M&Aは可能です。


3.2,000万〜5,000万円(比較的承継しやすい)

 職員2〜5名で、それぞれ自立した仕事の裁量を持っていて、事務所の基盤ができていると、比較的承継はしやすいです。ただし、資産税等のスポット業務のシェアが大きい場合や、利益率が悪い場合には条件が厳しくなることが考えられます。


4.5,000万円〜1億5,000万円(承継しやすい)

 このクラスになってくると、職員が数名でベテランも何名かいて、顧問先が堅調なところも多く、事務所としては安定しており、承継はしやすいです。「売上が大幅に減少してきていないか」「職員とのコミュニケーションは良好か」「独立しそうな職員はいないか」といった点に注意しましょう。


5.1億5,000万円超(難しい)

 職員が数十名いて、地域を代表するような大きな法人を顧問先に持つというような、地域一番の大手事務所と目されるような規模になりますと、相手先の選定がポイントになります。相手先の資金力はもちろん、実務スキルがある程度備わっていないと、職員や顧問先の不満を買うこともあります。その面では相手選びに慎重になる必要があるでしょう。