古田土式新規開拓講座
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第47回 月次決算の一般的な手続きは…

 おかげさまで会計事務所業界的に、“古田土式”月次決算書の認知は相当されるようになりました。

 でも、一方でその“古田土式”月次決算書をつくるまでの過程が非常に複雑なのではないのかと言われることがあるので、今回は、月次決算の原則的な手続きに関して解説させていただきます。

I.基本的には年次決算の処理と大きな違いはありません。
II.年次決算と目的が異なるため経理のルールを簡素化できます。



●月次決算の手続は

 月次決算の手続は、最も厳密なレベルを年次決算と同様のレベルととらえ、経営者が月次決算に求める目的に応じ、一部の手続を簡素化したり、場合によっては、年次決算とは異なる手続を取り入れたりすることによって作業を進めていきます。

 また、部門別決算もしくは店舗別決算などを月次決算において実施する場合、年次決算にはない手続ですので会社に応じて独自の手続を決めていく必要があります。


具体的な月次決算書の手続きフロー

(1)仮試算表の作成
   ↓
(2)月次決算整理仕訳の入力
   ↓
(3)試算表の作成
   ↓
(4)月次決算書の作成
   ↓
(5)予算と実績の比較分析・検討
   ↓
(6)月次決算会議の実施
   ↓
(7)対応策の実行


●月次決算における一般的な留意事項は

 月次決算における一般的な留意事項をあげると、次のとおりです。

(1)現金、預金

 実際有高と、預金は通帳残高と照合することにより帳簿残高と実際残高を合わせておくことが必要です。

(2)売掛金、買掛金

 売掛金、買掛金を毎月計上することが必要です。
 ただし、年次決算と異なり月次決算の締日までに正確な数値が判明しない場合には概算の数値を計上することも認められます。
 (例:千円未満切り捨てにする、買掛金であれば先方に確認し概算値を教えてもらう、見積書の数字を仮計上する等)

(3)仮払金、仮受金

 仮払金、仮受金については内容確認のうえ正しい勘定科目に振り替えることが必要です。
 また、仮受金については保守的な観点より内容がわかるまで仮受金のままでおいておくのが望ましいといえます。
 あやふやなままとりあえず収益にあげてしまいますと、のちに収益でないことが判明した場合に月次決算の数字が狂ってきます。

(4)賞与・減価償却費

 賞与の年間支給予定額の月割額や減価償却などの実際発生額を計上する必要があります。
 ただし、減価償却費の実際発生額の計上が煩雑な場合には、特に大きな固定資産の購入がなければ年間予算か前期の数値の12分の1を計上することも認められます。

(5)製品・商品・仕掛品・原材料

 製商品、仕掛品、原材料はできるだけ正確に棚卸をする必要があります。
 ただし、月次決算の場合は若干簡便な棚卸をしてもよいでしょう。
 例えば、商製品の出納帳をつけている場合はその帳簿上の金額を使用する、主要なものだけを棚卸して細かいものは期首と同額と見なすなどの方法です。
 毎期目標を定めて棚卸実施可能なレベルで棚卸を行い、月末有高のうち棚卸を行った分だけ実際有高に置き換えていくというやり方も有効です。

(6)部門別計算・店舗別計算

 部門別計算もしくは店舗別計算を実施する場合は、部門別に正確に算出できる費用(例:仕入、広告費、人件費)は問題ありませんが、複数の部門にまたがつて発生する費用(例:総務経理等の人件費、本社の地代家賃)をどうするかが重要になります。
 会社の特徴に応じ売上比率や従業員比率で按分したり、場合によっては無理に按分したりせず本社経費として一本化するのも一法です。
 部門別の業績を正確に算出するのは重要な手続です。
 経営者が儲かっていると思っていた部門が意外に単なる思い込みで、実際は赤字だったりすることがよくあります。
 売上高を作ることが先行して、黙殺していた部分が月次決算で見えてくるのです。