会社はP/Lで潰れるのではなく、B/Sで潰れるのです。
別の言い方をすれば、赤字だから潰れるのではなく、お金がないから潰れるのです。
だからこそ古田土会計では、お客様にP/L経営ではなく、B/S経営をされることを強調しています。
それを伝えるために必要なものが“資金別貸借対照表”なのです。
資金別貸借対照表とは/資金別貸借対照表の解説
「資金別貸借対照表」は、未来に向けて財務体質を改善するために、決算書(損益計算書と貸借対照表)を並べ替えて、お金を4つの区分に色分けしたものです(参考書籍『会社を強くする「資金会計理論」』島田勝弘・奥井英作著/プレジデント社)。
現金預金を「損益資金」「固定資金」「売上仕入資金」「流動資金」の4つに分解します。
それぞれの資金を、調達から運用を差し引いた差額で表示することで、財務体質を分析することができます。
この表は、会社が誕生してからの歴史を封印しています。
この表から、未来に向けて財務体質の改善方策を探ります。
中小企業の経営者が、絶対に果たさなければならない使命は、「会社をつぶさないこと」です。
短期的には、赤字でも会社はつぶれません。
逆に「黒字倒産」という言葉があるとおり、黒字であってもお金が無くなると、会社は簡単に倒産してしまいます。
無借金経営は理想です。
しかし、現実的には勇気をもって借入をしなければならないときがあります。
私たちは、資金別貸借対照表の財務体質を分析し、会社を倒産させないために、社長に早めの資金調達をお願いすることが珍しくありません。
つぶれない会社を作るための資金調達と運用のバランス、会社のお金のことを解き明かした、まさに究極の決算書が資金別貸借対照表なのです。
キャッシュフロー計算書での「営業キャッシュフロー」の改善も、資金別貸借対照表での「損益資金」の改善も、すべてのスタートは利益を出すことです。
お金の流れや財務体質を改善しようと思ったときに、思い知らされるのは、やはり「利益を出すことがいかに大事なのか」ということに尽きます。
だから、最終的に「未来会計は、未来会計図へ集約される」ことになります。
全社一丸となって利益を生み出すための知恵を絞ること。
最終的に打つ手はここに収れんされることになるのです。
ただ、何もわからずに「売上を上げよう!」と叫ぶのと、お金の流れ、財務体質のことがわかって「売上を上げよう!」と叫ぶのとでは、言葉の重みが違ってきます。
キャッシュフローを改善するため、財務体質を改善するため、粗利益を最大化させるために、やはり売上を増加させる必要があるのです。
資金別貸借対照表のイメージ図
画像をクリックするとpdfファイルが開きます。
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実は、私が最初に古田土会計のセミナーに参加したのは、この“資金別貸借対照表”がテーマでした。
はっきり言って、当時は何を言っているのかさっぱり分からなかったのですが、理解できたら財務体質を理解するのにはもちろん、今後の財務体質の方向性も決めることができる素晴らしい表だということが理解できました。
例えば、上のイメージ図で説明してみます。
持っているだけで倒産のリスクのある支払手形をなくしたいとします。そうするとどうすれば良いか?
例えば…
1)滞留している売掛金の管理をしっかりやる。
2)前受けはできないか?
3)長期の借入れはできないか?
4)役員(社長本人)から借りれないか?
などなど。
こうして考えてみるといろんな方法があるんです。
いろんな科目をいじることで、支払手形がなくなるんです。
P/Lで解決するとしたら時間がかかるのに、B/Sをいじればすぐに解決出来る可能性があります。
これをうまく活用できれば、お客様の会社の財務体質は劇的に改善できるようになるものです。
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