「月次決算書」を実践する効果というと一般的には次の5つくらいです。
●効果1:経営者が数字から会社の現状把握ができる
会社の現状を把握するには、迅速かつ正確な月次決算が必要です。
毎月月次決算を実施することにより、年度決算ではつかめないタイムリーな情報をつかむことができます。
これまで経験と勘を頼りにやってきた経営者にも、経営の判断材料となる生きた数字を月次決算書の中からつかみ、「どのように手を打つか」がわかるようになります。
●効果2:最適な節税対策が見つかる
実は会社の決算は正確な月次決算を12回行った結果です。
そのため、毎月正確な月次決算を積み重ねることで、決算の数か月前から、かなりの精度で決算の着地点を予想することができます。
したがって、多くの選択肢の中から、会社の現状に適合する最適な節税策を事前に見出すことができるようになります。
しかも、申告期限間近になって初めて納税金額がわかるようなことはなくなり、余裕をもって納税資金の準備ができるようになります。
●効果3:決算対策が容易になる
効果2で述べたように、毎月正確な月次決算を積み重ねることで、決算の数か月前から、決算の着地点が予想できます。
したがって、赤字が出ていた場合は決算を黒字にするためにどこに焦点をあてて経営を見直していくべきかという決算対策もたてられます。
●効果4:銀行と有利に交渉できるようになる
銀行・政府系金融機関に融資を申し込みますと、必ず過去3期分程度の決算書と直近の月次決算書の提出を求められます。
ある程度の精度を持った月次決算書の提出は、融資交渉を有利に進めるための必須の条件です。
また、逆に月次決算書を提出できなかった場合、当然に信用が低下することになります。
本来2%程度の金利で借りられたはずのものが、それをはるかに上回る金利になってしまうこともあります。
●効果5:社長のビジョンを明確化し、社長に「気づき」を喚起できる
月次決算の活用により、社長のビジョンを明確にした経営計画を作成し、その数値ベースである年度予算、さらにそれを月次ベースにした月次予算と月次決算書をつきあわせることで、会社の目標を達成できているか、あるいはズレがあるかなどが分析できます。
ズレがあるとしたら何が原因で、明日以降打つべき手は何かを読み解くことになり、社長に改善の「気づき」を喚起できます。 |
このなかで一番大事な効果と言えば何だと思われますか? この中からですよ。
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わたしの答えは「効果5」です。
会社にとって一番大事なことは、会社を存続させること。
存続させるためには、(1)〜(4)も大事ですが、社長が会社を俯瞰的に見て、これからどうやって利益を出して、お金を残すかの判断・決定をすること。
つまり、「効果5」です。
なぜ、こんなことを言うかと申しますと、ただ「月次決算書」または「月次の試算表」を提出するだけで良しとしている会計事務所が実に多いということです。
「効果5」には【説明】が絶対的に必要になります。
もちろん【説明】にも技術が要りますが、ただ試算表を渡して、「去年と比べて○○ですね〜」という会計事務所ばっかりなのでお話させていただきました。
月次決算書に魂を込めなくては、お客様に良くなって欲しいという熱意が伝わりません。
むろん、ただの世間話で済ませないでくださいね。
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