第93回 同業他社と比較しよう

 絶対的な総合診断も大切ですが、相対的に診断を捉えるのも必要です。社長は「同業に比べてウチはどう?」「ほかの会社は儲かってる?」との質問が多いでしょう。そこで、自社が同業者のなかでどの辺りに位置するのかを明確にしたら、改善のステップがみえてきます。

同業他社との比較では


同業者との比べ方のポイント

 まずは同業者の平均的な決算書を入手しましょう。この決算書を自社が分析した内容と同じ分析方法で出た内容と比較するのです。分析の方法はいくつもありますが、視点は次の通りです。

(1) 収益性:
会社が成長・発展していくために必要な収益が獲得できたかどうか。

(2) 生産性:
経営資源を投入し、ローコストで、仕入れ(作り)どれだけ効率良く販売したかどうか。

(3) 資金性:
経営活動の投下した資本が無駄なく効率的・効果的に使われているかどうか。

(4) 健全性:
会社の財政状態(資金の出所・使われ方)は適正か、支払い能力の程度はどうか。

(5) 安定性:
バランスのとれた経営が行われているか、経営環境への対応力があるかどうか。

(6) 成長性:
経営資源が継続的に効率良く活用され成長・発展に向けて活動しているかどうか。

 これらの項目で分析する手法を「6要素診断」と呼んでいます。このように、決算書から6つの視点で会社の良いところ悪いところを明確にするのが、決算診断の経営分析手法であり、これを明確にする方法の一つが、同業他社との比較です。

 自社が同業者と比べて、どんなところに良いところがあり、悪いところがあるのでしょうか? それを知った上で、自社をナンバー・ワン、オンリー・ワンへと成長させていきましょう。

 同業他社の平均的な決算書のかわりに、目標とする同業者の決算書を使用するのも有効な方法です。会社の規模が違っていても良いのです。

 6要素診断は、年商が10億円より、100億円のほうが総合診断が良いとはかぎりません。経常利益が1千万円より、1億円のほうが必ずしも総合診断が良いわけではありません。すべての経営内容のバランスで分析しますから、売上や、利益の「金額」だけでは総合診断は、わからないのです。少ない人数で、小さな投資で、小さな売上で、小さな利益でも、大企業・上場企業より総合診断の高い零細企業も多いのです。

 そういう意味で、企業の大小に関係なく比較することが有効な方法なのです。





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