第80回 6要素解説 ― 成長性の視点(5)

■成 長 性

 企業が成長するとは、どのようなことをいうのでしょうか。そして、成長は、企業にとって、どのような意味をもっているのでしょうか。「成長なくして繁栄なし」と言われるように企業経営は、リスクとリターンの関係としてみる以上、常に「前進あるのみ」でなければ安心していられません。

 言葉としての安定、安心というものは存在しますが、成長の中にあってこその安定、安心といえます。その意味で「成長」こそ究極の企業目標といえます。それでは、何をもって成長というのでしょうか。まず比較時点として、「昨日より今日が良くなる」「今日より明日の方が良くなる」という、過去→現在→未来へと続く時系列の比較でとらえることができます。

 そして、成長とは何か。これについては、経営の量的拡大と質的拡大を分けて考えることができます。量的拡大には、企業規模の拡大であり、質的拡大は、企業規模の拡大を伴わない企業利益の拡大ととらえることができます。企業規模の拡大を売上の増加ととらえると、利益を伴わない売上増加は、量的拡大はもたらしますが、質的拡大にはなりません。

 この量と質の双方における企業の成長を考えていこうとするのが、成長性の問題です。

 ここでは、(1)売上高増加率   (2)付加価値増加率
      (3)営業利益増加率  (4)経常利益増加率
      (5)自己資本増加率              をみていきます。




(5)自己資本増加率

 自己資本増加率は、より強い経営体にしていくために、「自己資本をどれだけ大きくできたか」ということを示しています。自己資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金などから構成されていますので、自己資本を増やし続けるためには、利益を生み出し続けるか、新たに株式を増やす(増資)などして、資本を増やすことになります。

 多くの中小企業では、増資(株式の発行)を行なうケースは少ないので、自己資本の増加のためには、利益を出してためていくことが大切です。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかがでしょうか。





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