第77回 6要素解説 ― 資金性の視点(5)

■資 金 性

 企業経営にとって、最後に頼りになるのは、「お金」であり、「お金」がなければ、いかに多くの財産をもっていようと、いかに多くの売上があろうと、「支払不能」の可能性は否定できません。「勘定あって銭足らず」といわれるように、企業倒産の引き金になるのは、いつでも「お金」の問題です。

 企業経営は、「お金」に始まって(金銭出資で会社設立のスタートをきる)、「お金」で終わり(会社解散、精算の時は全ての財産を資金化して、残余財産としてお金を分配する)「お金」の切れ目(支払不能)で信用不安や、倒産になります。一般に「企業が倒産した」というのは、債務超過という状況を言うのではなく、支払不能の状況をいい、手形の決済日に不渡手形を出せば、銀行取引停止処分となり、事実上の倒産とみなされます。その意味で「お金」の流れをスムーズにしていくことは、人間の血液の流れと同じく、企業経営にとって不可欠となります。

 ここでは、(1)総資本回転日数    (2)受取勘定回転日数
      (3)棚卸資産回転日数   (4)固定資産回転日数
      (5)支払対受取回転日数比              をみていきます。




(5)支払対受取回転日数比

 資金性の重要性は、資金ショートの防止が第一です。もし資金不足が発生すると、決済資金を手当てできず、不渡手形、銀行取引停止処分といった事実上の倒産を招くことになります。そこでは、売掛金、受取手形の早期回収、つまり受取勘定の資金化が必要といわれる所以です。しかし、この早期の資金化が必要とされるのは、支払いとの関係をみているからです。支払手形、買掛金といった支払勘定の資金決済と受取勘定の現金回収のバランスさえ、もたらされていれば、必ずしも資金繰りに窮することはないともいえます。その意味で受取勘定回転日数は、バランスシートの片側だけを見て、資金の回収期間を考えているのに対し、支払対受取回転日数比は、回収と支払という資金の両方のバランスを見ており、この回転差の資金は、企業に豊富な資金力をもたらしますので、この指標は、重要といえます。


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