第76回 6要素解説 ― 生産性の視点(5)

■生 産 性

 企業は、利益獲得のために様々な活動をしていますが、この利益中心主義の発想だけでは、必ずしも企業評価を十分に行うことはできません。この企業活動を、社会から様々な財貨、サービスを受け入れ、それにプラスアルファー(付加価値)をして、社会に還元するという生産活動に着目したのが、「生産性」です。

 特に、バランスシートには、企業の構成要素である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」「技術」のうち、「モノ」「カネ」中心で、いくら稼いだかにばかり目がいきがちですが、「ヒト」や「技術」や「情報」といった、人的資産、知的資産等の無形資産の役割こそが、本当の稼ぎと考えるべきであり、従来の収益性をサポートする指標として、この生産性は重要です。

 この生産性は、付加価値の分配状況(労働分配率、資本分配率、租税分配率)を中心として見ることになりますが、経営効率で考えると絶対額でみるのではなく、従業員一人当りでみるべきです。そして、この従業員一人当りのいろいろな利益を考えるのも、経営効率としての生産性を考える際、大切です。

 ここでは、(1)一人当り付加価値  (2)一人当り営業利益
      (3)一人当り経常利益  (4)労働分配率
      (5)固定資産投資効率               をみていきます。




(5)固定資産投資効率

 固定資産投資効率は高いほど設備資産が効率よく付加価値を上げていることを示します。例えば、1000万円の設備で2000万円の付加価値を上げている企業と、2000万円の設備で2000万円の付加価値を上げている企業と比較すると、前者の固定資産投資効率は200%、後者は100%となります。したがって、同じ2000万円の付加価値を生み出すのに、前者のほうが倍の効率を持っているということになります。

 生産性はあくまでも、経営資源の「ヒト」にかかわる労働生産性と、「モノ」にかかわる設備生産性の両面で見る必要がありますので、両方のバランスを良く見て経営判断を行なうことが大切です。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかがでしょうか。





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