第75回 6要素解説 ― 収益性の視点(5)

■収 益 性

 企業は、もともと利益獲得を目指して作られたものですから、利益を出さなければ企業とはいえません。利益獲得の達成度を見るのがこの「収益性」です。

 「収益性」には2つの見方があり、1つは、損益計算の結果として「利益」であり、2つは、外部購入給付(仕入・外注等の購入)に、新しい価値を付加したかという付加価値です。前者は、手持ちの財産をいかに有効に活用して利益を獲得したかという、財産との関係での稼ぎ方(総資本利益率、経営資本利益率、営業資本利益率)が中心となりますが、財産を何回、利用して稼いだか(資本回転率)、販売によってどれだけ稼いだか(売上高営業利益率、売上高経常利益率)を通して、企業の稼ぎ方が明らかになります。利益率や利益額は、大きければ大きい程良いと、一般的には言えますが、長期的発展を考えると、利益によって犠牲になったもの、余りに利益が大きいと、他社の参入といったリスクも発生するので、これだけでは、必ずしも十分な分析はできません。

 ここでは、(1)総資本経常利益率  (2)付加価値率
      (3)売上高営業利益率  (4)売上高経常利益率
      (5)売上高支払利息率               をみていきます。




(5)売上高支払利息率

 企業経営にとっての最大の足かせとなるものが債務であり、とりわけ銀行からの借入れです。「信用は支払から」といわれるように支払は、待ったなしで訪れるし、この支払をきっちりしていくことは企業の信用獲得にとって不可欠といえます。せっかく、営業活動で稼いだ利益も、金利でパーとなっては、意味がありません。借入金の返済は、まず利息の支払い、次に元本の返済という順序になりますが、ここでは、借入金の返済能力ではなく、借入金を維持していく能力として、利息支払能力がどれくらいあるかという点が重要です。その際、定期預金と借入金が見合いとなっているケースもありますので、支払利息マイナス受取利息として、純支払利息という考えをとります。この支払利息を支払える能力がどれ位あるか、その能力を売上高との関係でみたものが売上高支払利息率です。売上高支払利息率は、販売活動によって金利負担割合が、どの程度になるかを明らかにするものです。


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