第74回 6要素解説 ― 成長性の視点(4)

■成 長 性

 企業が成長するとは、どのようなことをいうのでしょうか。そして、成長は、企業にとって、どのような意味をもっているのでしょうか。「成長なくして繁栄なし」と言われるように企業経営は、リスクとリターンの関係としてみる以上、常に「前進あるのみ」でなければ安心していられません。

 言葉としての安定、安心というものは存在しますが、成長の中にあってこその安定、安心といえます。その意味で「成長」こそ究極の企業目標といえます。それでは、何をもって成長というのでしょうか。まず比較時点として、「昨日より今日が良くなる」「今日より明日の方が良くなる」という、過去→現在→未来へと続く時系列の比較でとらえることができます。

 そして、成長とは何か。これについては、経営の量的拡大と質的拡大を分けて考えることができます。量的拡大には、企業規模の拡大であり、質的拡大は、企業規模の拡大を伴わない企業利益の拡大ととらえることができます。企業規模の拡大を売上の増加ととらえると、利益を伴わない売上増加は、量的拡大はもたらしますが、質的拡大にはなりません。

 この量と質の双方における企業の成長を考えていこうとするのが、成長性の問題です。

 ここでは、(1)売上高増加率   (2)付加価値増加率
      (3)営業利益増加率  (4)経常利益増加率
      (5)自己資本増加率              をみていきます。




(4)経常利益増加率

 経常利益は、本業の儲けを示す営業利益に加え、企業の財務活動などの成果(営業外損益)を加味した利益です。この営業外損益は、多くの場合「経営者の意思決定によってもたらされたもの」です。言い方を変えると、営業外損益を生み出す意思決定に、従業員が参画できるケースは少ないのです。つまり、この一人当たり経常利益増加率は、従業員の頑張りに加え、「経営者の意思決定」を含めた「企業全体の頑張り」についての成果を示しているのです。

 売上を伸ばし、変動費を下げ、固定費を削減して、利益を出す。その利益を経営者がどのように使って企業経営を行なったか、という見方もできます。

 経常利益増加率は、経営者の企業経営において、未来に向けての取組みを決めていく目標値としていくことが大切です。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかがでしょうか。





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