第69回 6要素解説 ― 収益性の視点(4)

■収 益 性

 企業は、もともと利益獲得を目指して作られたものですから、利益を出さなければ企業とはいえません。利益獲得の達成度を見るのがこの「収益性」です。

 「収益性」には2つの見方があり、1つは、損益計算の結果として「利益」であり、2つは、外部購入給付(仕入・外注等の購入)に、新しい価値を付加したかという付加価値です。前者は、手持ちの財産をいかに有効に活用して利益を獲得したかという、財産との関係での稼ぎ方(総資本利益率、経営資本利益率、営業資本利益率)が中心となりますが、財産を何回、利用して稼いだか(資本回転率)、販売によってどれだけ稼いだか(売上高営業利益率、売上高経常利益率)を通して、企業の稼ぎ方が明らかになります。利益率や利益額は、大きければ大きい程良いと、一般的には言えますが、長期的発展を考えると、利益によって犠牲になったもの、余りに利益が大きいと、他社の参入といったリスクも発生するので、これだけでは、必ずしも十分な分析はできません。

 ここでは、(1)総資本経常利益率  (2)付加価値率
      (3)総資本経常利益率  (4)売上高経常利益率
      (5)売上高支払利息率               をみていきます。




(4)売上高経常利益率

 売上高に対して経常利益がどのくらい出たかを示す指標です。本業の儲け稼ぐ活動に財務活動の成果(営業外損益)を加え、1年間における企業の総合力を見ようとするのが経常利益です。

 営業利益に営業外損益を加味したものが経常利益ですが、この営業外損失で大きな比重を占めるのが、受取利息と支払利息です。中小企業の多くが、預金や借入金をはじめとする銀行取引を中心としていますので、これらの残高が多くなるのは当然です。

 これまで見てきたように、売上高利益率(付加価値・営業利益・経常利益)をそれぞれ並べて見ることで、最終的な収益の原因は何であったのかを確認できます。例えば、付加価値率が高ければ、商品(サービス)力による利益と考えられますし、付加価値率が低いのに売上高営業利益率が業界平均と同程度であれば、販売効率が良い(販管費比率が低い)と考えられます。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかがでしょうか。





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