第68回 6要素解説 ― 成長性の視点(3)

■成 長 性

 企業が成長するとは、どのようなことをいうのでしょうか。そして、成長は、企業にとって、どのような意味をもっているのでしょうか。「成長なくして繁栄なし」と言われるように企業経営は、リスクとリターンの関係としてみる以上、常に「前進あるのみ」でなければ安心していられません。

 言葉としての安定、安心というものは存在しますが、成長の中にあってこその安定、安心といえます。その意味で「成長」こそ究極の企業目標といえます。それでは、何をもって成長というのでしょうか。まず比較時点として、「昨日より今日が良くなる」「今日より明日の方が良くなる」という、過去→現在→未来へと続く時系列の比較でとらえることができます。

 そして、成長とは何か。これについては、経営の量的拡大と質的拡大を分けて考えることができます。量的拡大には、企業規模の拡大であり、質的拡大は、企業規模の拡大を伴わない企業利益の拡大ととらえることができます。企業規模の拡大を売上の増加ととらえると、利益を伴わない売上増加は、量的拡大はもたらしますが、質的拡大にはなりません。

 この量と質の双方における企業の成長を考えていこうとするのが、成長性の問題です。

 ここでは、(1)売上高増加率   (2)付加価値増加率
      (3)営業利益増加率  (4)経常利益増加率
      (5)自己資本増加率              をみていきます。




(3)営業利益増加率

 一人当たり営業利益増加率は、「企業の本業による成果」の成長度合いを示しています。経常利益にかかる営業外損益(金融費用など)と異なることは、あくまでも「本業の営業活動」を示すわけですので、従業員の一年の頑張りに直接関係するということです。

 この営業利益増加率が伸びているということは、「売上を伸ばし、変動比率を下げ、固定費削減した」というように、従業員がバランスよく総合的に成長した、ということを示しています。

 逆に低下している場合は「本業のどこかに、問題がある、無理がかかっている」という状態です。このようなときには、「どこに問題があるのか」の原因を特定して、今期からその改善に取組まなければなりません。売上高が伸びていないのか、付加価値が伸びていないのか、(変動比率が上がっているのか)、固定費が増えているのか、といった部分の検討を行なうことが必要です。売上高増加率、付加価値増加率と合わせて見ていく事が大切です。


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