第67回 6要素解説 ― 健全性の視点(3)

■健 全 性

 健全な会社とは、どのような会社をいうのでしょうか。健全な会社が「会社作り」の目標とされるのは何故でしょうか。健全な会社といえるためには、どのような指標を考えるべきでしょうか。人間の体でいえば、健康体、健康な体作りに相当するものです。病気になりにくい健康体は、人間の活動の基本といえます。人間作りの始めに体力作りがあり、体力作りの基本が健康体作りにあるように、会社作りの基本が健全性にあります。

 この健全性は、会社にとっての打たれ強さであり、常に何らかのリスクを覚悟しなければリターンを得ることはできません。よく言われる、「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」の原則です。

 このうち、リスクについては、かなり深く、確実に予測することは、リターンに関する不確実性にくらべて、容易といわれています。このことは、会計上の原則としての保守主義(予想の収益は計上せず、予想の費用は見込んでおけ)や、「取らぬ狸の皮算用」といった諺にもでてきます。

 会社の発展の基礎に、このような「倒産しない会社」「倒産しにくい会社」が会社作りの基本にあります。その意味で、健全な会社とは、まず「倒産しない会社」「倒産しにくい会社」というイメージを持つことが重要です。この健全性の指標としては、(1)自己資本比率 (2)固定比率 (3)固定長期適合率 (4)流動比率 (5)当座比率 の5つが考えられます。

 ここでは、(1)自己資本比率   (2)固定比率
      (3)固定長期適合率  (4)流動比率
      (5)当座比率              をみていきます。




(3)固定長期適合率

 設備投資のために調達される資金が、なるべく返済を急かされないものであればいい、とするならば、自己資本だけでなく、長期的に安定した負債であれば支障ないという考え方が成り立ちます。日本の企業の多くは過小資本であることを考慮すると、固定比率よりも固定長期適合率のほうが、指標として活用しやすい面もあります。

 固定比率が200%や300%以上であっても、固定長期適合率が100%以下であれば、問題ないとされています。「固定長期適合率が100%以下」とは、「流動比率が100%以上」であることの裏返しです。営業運転資金や経常利益の余り(例えば売上債権などを回収した資金の一部)で、長期借入金などの固定負債を少しずつ返済するのが、資金の流れとしては理想の姿です。

 固定長期適合率を改善するためには、固定資産を少なくし、固定負債と自己資本を増加させることです。しかし、これらは一律に減少、または増加させられるものではありません。企業成長のためには設備投資は不可欠です。したがってどうしても増加したり、減少したりするのです。これに対し、自己資本は一本調子で増加させることが望まれます。


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