第64回 6要素解説 ― 生産性の視点(3)

■生 産 性

 企業は、利益獲得のために様々な活動をしていますが、この利益中心主義の発想だけでは、必ずしも企業評価を十分に行うことはできません。この企業活動を、社会から様々な財貨、サービスを受け入れ、それにプラスアルファー(付加価値)をして、社会に還元するという生産活動に着目したのが、「生産性」です。

 特に、バランスシートには、企業の構成要素である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」「技術」のうち、「モノ」「カネ」中心で、いくら稼いだかにばかり目がいきがちですが、「ヒト」や「技術」や「情報」といった、人的資産、知的資産等の無形資産の役割こそが、本当の稼ぎと考えるべきであり、従来の収益性をサポートする指標として、この生産性は重要です。

 この生産性は、付加価値の分配状況(労働分配率、資本分配率、租税分配率)を中心として見ることになりますが、経営効率で考えると絶対額でみるのではなく、従業員一人当りでみるべきです。そして、この従業員一人当りのいろいろな利益を考えるのも、経営効率としての生産性を考える際、大切です。

 ここでは、(1)一人当り付加価値  (2)一人当り営業利益
      (3)一人当り経常利益  (4)労働分配率
      (5)固定資産投資効率               をみていきます。




(3)一人当り経常利益

 この指標を改善するためには、経常利益を増加させることが重要です。

 企業の収益には、固定資産を売却した利益など毎年生み出される利益でなく、「たまたま」その年にひねり出される利益もあります。このような特別損益を加味した当期利益についてはかなりの「恣意性」が入り込んでいて、「企業の実力」を表すには適切ではありません。やはり、「企業の実力」を見るためには、この経常利益の推移を比較することが求められます。

 例えば、一人当たり経常利益が10万円だとしたら、従業員の1ヶ月の給与を1万円アップしたら赤字ということになります。もし、20万円だったら、パソコンを従業員に買い与えたら赤字になります。このように、具体的に何をしたら赤字になる、という見方をすると分かりやすいでしょう。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかがでしょうか。





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