第63回 6要素解説 ― 収益性の視点(3)

■収 益 性

 企業は、もともと利益獲得を目指して作られたものですから、利益を出さなければ企業とはいえません。利益獲得の達成度を見るのがこの「収益性」です。

 「収益性」には2つの見方があり、1つは、損益計算の結果として「利益」であり、2つは、外部購入給付(仕入・外注等の購入)に、新しい価値を付加したかという付加価値です。前者は、手持ちの財産をいかに有効に活用して利益を獲得したかという、財産との関係での稼ぎ方(総資本利益率、経営資本利益率、営業資本利益率)が中心となりますが、財産を何回、利用して稼いだか(資本回転率)、販売によってどれだけ稼いだか(売上高営業利益率、売上高経常利益率)を通して、企業の稼ぎ方が明らかになります。利益率や利益額は、大きければ大きい程良いと、一般的には言えますが、長期的発展を考えると、利益によって犠牲になったもの、余りに利益が大きいと、他社の参入といったリスクも発生するので、これだけでは、必ずしも十分な分析はできません。

 ここでは、(1)総資本経常利益率  (2)付加価値率
      (3)売上高営業利益率  (4)売上高経常利益率
      (5)売上高支払利息率               をみていきます。




(3)売上高営業利益率

 売上高に対し本業での儲け(営業利益)がどのくらいでたかを見る指標です。企業は製品を作ったり、商品を仕入れたりしただけで利益を生み出すのではありません。製造部門、営業部門、間接部門(総務・経理など)の協力を加味したものが、営業利益であり、本業の儲けになります。

 売上高営業利益率の改善には、以下のポイントがあります。

 (1)売上高をアップする
 (2)原価率を下げる
 (3)販売費・一般管理費を下げる

 人件費以外については、「無駄をなくす」という観点で細部のチェックを行なうことが重要です。「ローコストオペレーション」は企業存続のために非常に重要な要素です。「トイレの電気をこまめに消す」といった、現実的には数値に大きく影響しないことであっても、1円、1分、1秒を無駄にしないという「使わない原価意識」が根付いている企業は、景気の良し悪しに影響されない企業体質を有しています。「ローコスト」を根付かせる方法として、一定の経費項目について削減目標を設定し、その目標を達成した場合にはインセンティブを与えるなどの方策を行なっている企業も見受けられます。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかがでしょうか。





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