第61回 6要素解説 ― 健全性の視点(2)

■健 全 性

 健全な会社とは、どのような会社をいうのでしょうか。健全な会社が「会社作り」の目標とされるのは何故でしょうか。健全な会社といえるためには、どのような指標を考えるべきでしょうか。人間の体でいえば、健康体、健康な体作りに相当するものです。病気になりにくい健康体は、人間の活動の基本といえます。人間作りの始めに体力作りがあり、体力作りの基本が健康体作りにあるように、会社作りの基本が健全性にあります。

 この健全性は、会社にとっての打たれ強さであり、常に何らかのリスクを覚悟しなければリターンを得ることはできません。よく言われる、「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」の原則です。

 このうち、リスクについては、かなり深く、確実に予測することは、リターンに関する不確実性にくらべて、容易といわれています。このことは、会計上の原則としての保守主義(予想の収益は計上せず、予想の費用は見込んでおけ)や、「取らぬ狸の皮算用」といった諺にもでてきます。

 会社の発展の基礎に、このような「倒産しない会社」「倒産しにくい会社」が会社作りの基本にあります。その意味で、健全な会社とは、まず「倒産しない会社」「倒産しにくい会社」というイメージを持つことが重要です。この健全性の指標としては、(1)自己資本比率 (2)固定比率 (3)固定長期適合率 (4)流動比率 (5)当座比率 の5つが考えられます。

 ここでは、(1)自己資本比率   (2)固定比率
      (3)固定長期適合率  (4)流動比率
      (5)当座比率              をみていきます。




(2)固定比率

 固定資産は10年、20年といった長期にわたって運用されるものですから、そのために調達される資金も、早期に返済しなくても良いものであることが望まれます。自己資本はその点、うってつけの資金です。このため、固定比率は、100%以下であることが理想であって、この比率が低いほど、資金のバランスが安定していることになります。

 しかし、中小企業の多くはオーナー色が強く、同族関係者以外の出資を拒むため、固定資産の増加に比べて、自己資本の充実がないがしろにされる傾向にあります。また、ベンチャー企業のように成長のスピードが急速だと、自己資本の増強が追いつかない場合もあります。

 固定比率が低い企業の中には、設備をリースで行なっているところもあります。貸借対照表上では、固定資産の額が下がりますので、見かけはよい評価になります。しかし、リースが多いと損益計算書上の固定費が上がり、収益を圧迫するだけでなく、目に見えない金利負担(リース料に含まれている)を課せられることになります。

 したがって、固定資産に関わる設備投資は、中長期的な視点に立って、どのような設備投資を行ない、どうやって資金調達を行なうか、さらにはキャッシュフローを安定させていくことが大切です。

 利益を出して自己資本を増強するか、増資をして自己資本を増やすことは重要なことです。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかがでしょうか。





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