第59回 6要素解説 ― 資金性の視点(2)

■資 金 性

 企業経営にとって、最後に頼りになるのは、「お金」であり、「お金」がなければ、いかに多くの財産をもっていようと、いかに多くの売上があろうと、「支払不能」の可能性は否定できません。

 「勘定あって銭足らず」といわれるように、企業倒産の引き金になるのは、いつでも「お金」の問題です。

 企業経営は、「お金」に始まって(金銭出資で会社設立のスタートをきる)、「お金」で終わり(会社解散、精算の時は全ての財産を資金化して、残余財産としてお金を分配する)「お金」の切れ目(支払不能)で信用不安や、倒産になります。一般に「企業が倒産した」というのは、債務超過という状況を言うのではなく、支払不能の状況をいい、手形の決済日に不渡手形を出せば、銀行取引停止処分となり、事実上の倒産とみなされます。その意味で「お金」の流れをスムーズにしていくことは、人間の血液の流れと同じく、企業経営にとって不可欠となります。

 ここでは、(1)総資本回転日数    (2)受取勘定回転日数
      (3)棚卸資産回転日数   (4)固定資産回転日数
      (5)支払対受取回転日数比              をみていきます。




(2)受取勘定回転日数

 総資産の回転日数という考え方は、会社が所有している全財産について、同じ目線でとらえるものであり、各業種、各会社毎に資産を構成する内容は異なっている点を捨象しています。財産の回転日数を高めることが重要でありますが、資産の構成内容を無視して判断しても、どこに問題があるかは明らかになりません。

 そこで、資産構成を細かくみていくと、一般企業においては、売掛金、受取手形といった売上債権(受取勘定)の比率が非常に高い企業が多いと思われます。信用取引の拡大は、企業の事業規模の拡大にとって不可欠であり、全てを現金決済する場合には、受取勘定は存在しませんが、このような企業は非常に少ないものと思われます。そこで、信用取引を中心とする企業の場合、多額の売上債権が発生することになります。

 そこで発生する受取勘定の資金化を、いかに早めるかということが資金性にとって重要となります。受取勘定回転日数というのは、当期の売上高の代金のうち未回収分、すなわち売上債権の残高が全額回収できるのに平均的にどれ位の日数を要するかを表す指標で、これを時系列的に見ることによって、受取勘定の回収が悪化しているか否か受取勘定が不良債権化しているか、これがひいては、資金化の悪化要因になっているかが明らかになります。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかがでしょうか。





Produced By
「決算診断」プロス
株式会社プロス