第58回 6要素解説 ― 生産性の視点(2)

■生 産 性

 企業は、利益獲得のために様々な活動をしていますが、この利益中心主義の発想だけでは、必ずしも企業評価を十分に行うことはできません。この企業活動を、社会から様々な財貨、サービスを受け入れ、それにプラスアルファー(付加価値)をして、社会に還元するという生産活動に着目したのが、「生産性」です。

 特に、バランスシートには、企業の構成要素である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」「技術」のうち、「モノ」「カネ」中心で、いくら稼いだかにばかり目がいきがちですが、「ヒト」や「技術」や「情報」といった、人的資産、知的資産等の無形資産の役割こそが、本当の稼ぎと考えるべきであり、従来の収益性をサポートする指標として、この生産性は重要です。

 この生産性は、付加価値の分配状況(労働分配率、資本分配率、租税分配率)を中心として見ることになりますが、経営効率で考えると絶対額でみるのではなく、従業員一人当りでみるべきです。そして、この従業員一人当りのいろいろな利益を考えるのも、経営効率としての生産性を考える際、大切です。

 ここでは、(1)一人当り付加価値  (2)一人当り営業利益
      (3)一人当り経常利益  (4)労働分配率
      (5)固定資産投資効率               をみていきます。




(2)一人当りの営業利益

 営業利益については、その絶対額、あるいは、投下資本との関係だけでなく、1人当たりという視点が重要です。社員1人当たりのベースで考えたとき、うちの社員は、どれだけの営業利益を稼いだのかというのがこの指標です。絶対額としての営業利益を増やしたいだけならば、赤字にならない限り販売を多くすることです。そして、販売を多くするためには、営業マンをできるだけ多く投入したり、販売拠点を沢山出したりすることが重要となります。

 しかし、このようなやり方では、真の意味での生産性の向上は図れません。

 筋肉質の営業利益ということになると、この営業利益が何人によってもたらされたか、すなわち1人当たりの営業利益が重要となります。拡大、膨張一本やりの営業から効率の良い生産性の高い営業をみるために重要な指標です。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかがでしょうか。





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