第52回 6要素解説 ― 生産性の視点(1)

■生 産 性

 企業は、利益獲得のために様々な活動をしていますが、この利益中心主義の発想だけでは、必ずしも企業評価を十分に行うことはできません。この企業活動を、社会から様々な財貨、サービスを受け入れ、それにプラスアルファー(付加価値)をして、社会に還元するという生産活動に着目したのが、「生産性」です。

 特に、バランスシートには、企業の構成要素である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」「技術」のうち、「モノ」「カネ」中心で、いくら稼いだかにばかり目がいきがちですが、「ヒト」や「技術」や「情報」といった、人的資産、知的資産等の無形資産の役割こそが、本当の稼ぎと考えるべきであり、従来の収益性をサポートする指標として、この生産性は重要です。

 この生産性は、付加価値の分配状況(労働分配率、資本分配率、租税分配率)を中心として見ることになりますが、経営効率で考えると絶対額でみるのではなく、従業員一人当りでみるべきです。そして、この従業員一人当りのいろいろな利益を考えるのも、経営効率としての生産性を考える際、大切です。

 ここでは、(1)一人当り付加価値  (2)一人当り営業利益
      (3)一人当り経常利益  (4)労働分配率
      (5)固定資産投資効率               をみていきます。




(1)一人当りの付加価値

 付加価値は、企業が外部から購入したものに対して新たに生み出した企業成果ですので、その重要性は、いうまでもありません。しかし、付加価値を絶対額でみるだけでは、必ずしも企業の良し悪しを判定できません。

 同じ付加価値を生み出した場合でも沢山の人数で、それを成し遂げたのか。少人数で成し遂げたのかで、経営効率は違ってきます。特に、日本経済がこれから少子高齢化していくと、絶対的な規模を追及するだけでなく、一人当りの効率を目指す必要があるのと同じく、企業経営でもこの一人当りの効率化が重要です。

 この数字によって、社員一人一人が、稼ぎ出す力が明らかになります。

 物品販売業の場合、一人当りの付加価値は、一人当りの売上総利益(粗利益)に相当することになります。一人当りの付加価値が判明すると、その付加価値に対して、どれだけの報酬(給与)で、その人間に報いるかという労働分配率の問題が登場してきます。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかがでしょうか。





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