第43回 経営分析解説―安定性(3)

 経営者にとって「決算書」の見方のポイントを更に分り易く、解説していきます。是非、この機会に「決算書」が経営者にとって身近なものにしていただきたいと思います。

 前回、成長性がどのようなものなのか解説してまいりました。今回は、最近注目を集めております、【安定性】の項目について解説していきます。


【 安定性 】

 その企業にとって様々な不幸があってもぐらつかない。そして必要な時に必要な資金が無理なく用意できる。このような財務的な安定度を捉えるための要素のことを「安定性」という。


●経営安全率

 不況に耐える力(売上の余裕度)を示します。

 経営安全率(%) =(売上高 − 損益分岐点売上)÷ 売上高 × 100

 これは売上高から損益分岐点売上高を差し引いて、その結果を売上高で割った数値で、不況に耐える力を見る経営指標です。要は、今の売上げからどれだけ下がったら損益がトントンになるかを示す経営指標です。できれば20%を目標に会社の経営体質を変えていくとよいと思われます。


●借入金安全率

 自己資本と借入金のバランスで財務の安全性を示します。

 借入金安全率(%) = 借入金 ÷ 自己資本 × 100

  借入金安全率は、会社の資本に対する借入金の割合を示すもので、自己資本のほうが多いに越したことがありませんから、この比率が低いほうが、安定性が高いと見なされます。


●債務償還可能年数

 今ある借入金が返済資源により何年で返済できるかを示します。

 債務償還年数(年) = 借入金 ÷ (営業利益+減価償却費)


 債務償還年数は、会社が生み出す利益で現在の借入を何年間で返済できるかを測る指標です。3年以内であれば、かなり安定性において優秀であると見なされますが、10年以上になると安定性に疑問が出てくると思われます。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかかでしょうか。





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