第40回 経営分析解説―健全性(2)

 経営者にとって「決算書」の見方のポイントを更に分り易く、解説していきます。是非、この機会に「決算書」が経営者にとって身近なものにしていただきたいと思います。

 前回、【健全性】は、どのようなものなのか解説し、(1)自己資本比率、(2)固定比率 の解説してまいりました。引き続き【健全性】の分析項目を解説していきます。


【 健全性 】

 会社の財政状態の良否、支払能力の程度を判断する要素です。それは、会社を継続的に運営していくために必要な資金の出所・使われ方は適正か、必要な資金をいつでも用意できる状況にあるかどうかということを捉えようというものです。


決算診断提案書における健全性の分析指標

(3)固定長期適合率(長期資金の投資充当度)

  固定資産  × 100 (%)
自己資本+固定負債

で計算します。

理解するためのポイント
 長期資本(固定負債と自己資本の合計)がどの程度、固定資産に投下されているかを示している。この値は100%以下が理想であり、100%以上になった場合は固定資産を長期資本でまかないきれず、流動負債(短期借入)で補っていることになり、財務上不健全性を意味している。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・利益の蓄積、増資などにより自己資本を増やす。
・長期借入金を増やす。
・固定資産(必ずしも遊休とは限らない)などを売却し、流動資産に変える。
外注先の活用など、設備投資を相対的に小さくする。
なお、リースの利用を増やすことで数字上はこの値を小さくできるが、本質的な問題解決にはならない。


(4)流動比率(短期的支払能力)

  流動資産  × 100 (%)
流動負債

で計算します。

理解するためのポイント
 流動資産(1年以内に現金化する)で、流動負債(1年以内に返済・支払いをしなければならない)をどの程度弁済する能力があるかを示している。この値が高いほど返済能力があり、100%以上ならば、流動負債以上に流動資産があること意味する。ただし、この値は業界によって大きな差があるので、同業他社との比較、期間比較をして分析する。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・資産(特に固定資産)の圧縮を図りつつ流動負債を削減する。
・自己資本や固定負債を増やし、流動負債を削減する。
・固定資産を売却などにより現金・預金(流動資産)に変える。


(5)当座比率(現在の支払能力)

  当座資産  × 100 (%)
流動負債

で計算します。

理解するためのポイント
 1年以内に支払うべき負債に対する流動資産その中でも流動性の強い現金、売掛金など(当座資産)の比率を示している。この比率が高ければ高い程、現在の支払い能力が高いことを意味している。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・資産(特に固定資産・棚卸資産)の圧縮を図りつつ流動負債を削減する。
利益や増資により自己資本を、長期借入金により固定負債を増やし、流動負債を削減する。
・固定資産の売却により、現金・預金(当座資産)に変える。
棚卸資産を売上につなげたり、処分することで削減し、当座資産・受取手形・売掛金などを増やす。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかかでしょうか。





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