第38回 経営分析解説―安定性(2)

 経営者にとって「決算書」の見方のポイントを更に分り易く、解説していきます。是非、この機会に「決算書」が経営者にとって身近なものにしていただきたいと思います。

 前回、【安定性】は、どのようなものなのか解説し、(1)経営安全率、(2)労働分配率 の解説してまいりました。引き続き【安定性】の分析項目を解説していきます。


【 安定性 】

 その企業にとって様々な不幸があってもぐらつかない。そして必要な時に必要な資金が無理なく用意できる。このような財務的な安定度を捉えるための要素のことを「安定性」という。


決算診断提案書における安定性の分析指標

(3)借入金依存度(投下資本の借入依存度)

  借入債務  × 100 (%)
総資本

で計算します。

理解するためのポイント
 総資本の中に占める借入債務の割合を示しており、この値が低いほど「借入金依存度」が低く、安定性が高い。借金体質の度合いを見るのに有力である。必要な額以上に借りない、有利な金利の資金乗り換えを可能にする、担保力が低下した場合の十分な備えをもつことが大切である。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・総資本のスリム化を進め、借入債務も小さくする。
・増資や利益の蓄積により自己資本を充実させ借入債務を小さくする。


(4)借入月商比率(売上高と借入額のバランス)

  借入債務  (月額・万円)
売上高(月額)

で計算します。

理解するためのポイント
 借入債務が月商売上高の何ヶ月分に当たるのかを示している。例えば3.5ヶ月となれば、この企業は3.5ヶ月分の売上に相当する借入債務があることを意味する。よって、この値が低いほど安定性が高い。適正な借入金はいくらまでかを月商売上高で知ることも出来る。目安として、月商の1〜2ヶ月の借入は安全、3ヶ月で注意、6ヶ月は危険信号である。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・売上を伸ばし、借入債務も小さくする。
・会社の実力以上に無理な借金をしないこと。


(5)預金対借入金比率(借入返済の余裕度)

  現金預金  × 100 (%)
借入金

で計算します。

理解するためのポイント
 現在の借入金に対して、現金預金でどの位返済できるかを示している。企業の当座の返済能力を表す。この値が高いほど、借入金と比べ、現金預金の割合が高く安定性が高い。この値があまりに低ければ、もうそれ以上の借入導入は難しい。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・借入金を減らす。
・総資産の内、現金化しても問題のないもの(又はその方が望ましいもの)で
・可能なものについては現金化する


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかかでしょうか。





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