第35回 経営分析解説―資金性(1)

 経営者にとって「決算書」の見方のポイントを更に分り易く、解説していきます。是非、この機会に「決算書」が経営者にとって身近なものにしていただきたいと思います。


【 資金性 】

 投下した資本がどれだけ効率的に売上に結びついているか、その回収速度はどうなのか、資金面で余裕のある取引構造になっているのかいないのかを捉えるための要素である。


(1) 総資本回転日数 (日)
投下した資本の活用状況を表し、売上に結びついているかを示します。

365 ÷ 売上高
総資本

(2) 受取勘定回転日数 (日)
代金回収の早さを示します。

365 ÷ 売上高
受取勘定

(3) 棚卸資産回転日数 (日)
棚卸資産の足の早さを示します。

365 ÷ 売上高
棚卸資産

(4) 固定資産回転日数 (日)
設備の売上への貢献度を示します。

365 ÷ 売上高
固定資産

(5) 支払対受取回転日数比 (1対)
回収と支払のバランスを示します。

365÷ 売上高 ÷ 365÷ 仕入高
受取勘定 支払勘定


決算診断提案書における資金性の分析指標

(1)総資本回転日数(投下資本の売上貢献度)

  365 ÷ 売上高  (日)
総資本

で計算します。

理解するためのポイント
 経営活動の為に投下されたお金(=総資本)を売上として回収するまでの日数を示している。この日数が短いほど、効率よく資産(総資本)を活用し、販売活動は活発である。なお、リースの利用を増やすことで日数を短くすることができるが、実質的には資産と負債が増えたのと同じであることから、本質的な問題解決にはならない。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・総資本(総資産)を出来る限りスリムにする。
・各資産の稼働率を高める。


(2)売上代金の回収の早さ(受取勘定回転日数)

  365 ÷ 売上高  (日)
受取勘定

で計算します。

理解するためのポイント
 売掛金や受取手形などの回収速度・回収能率を示す。この日数が少ないほど、売上が現金として早期に回収されていることを意味し、資金性といった観点で見た場合に望ましい状況にあり、資金繰りを円滑にすることができる。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・一般売掛による販売をやめ、現金販売の比率を高める。
・債権管理を徹底し、売掛金残高を減らす。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかかでしょうか。





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