第34回 経営分析解説―生産性(2)

 経営者にとって「決算書」の見方のポイントを更に分り易く、解説していきます。是非、この機会に「決算書」が経営者にとって身近なものにしていただきたいと思います。

 前回、【生産性】は、どのようなものなのか解説し、(1)一人当り付加価値、(2)一人当り営業利益 の解説してまいりました。引き続き【生産性】の分析項目を解説していきます。


【 生産性 】

 生産性は大きく「労働生産性」と「設備生産性」とわけることができる。「労働生産性」が一人当りどれだけの売上や利益をもたらしているのかを見る尺度になっているのに対し、「設備生産性」は設備一単位当りどれだけの売上や利益をもたらしているのかを見る尺度になっています。


決算診断提案書における生産性の分析指標

(3)一人当り経常利益(一人当り経営活動成果)

  経常利益  (万円)
従事員数

で計算します。

理解するためのポイント
 社員(役員含む)一人がどのくらいの経常利益を稼ぎ出しているかを示す指標であります。この金額が高いほど経常利益への一人当たりの貢献度が高いということになります。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・経常利益を増やす。
・適正人員、少数精鋭、適材適所、人材育成、パート・アルバイトの戦力化。
・目標管理を徹底する。


(4)平均従業員給与(従業員の給与レベル)

  人件費(月額)  (月額・万円)
従業員数

で計算します。

理解するためのポイント
 従業員の平均賃金を示す指標であります。人件費には従業員の給与だけでなく、賞与・法定福利費・福利厚生費が含まれている為、実質的な経済面での待遇の水準を表していると考えてよいでしょう。この指標が増加しているときは、売上高、付加価値、営業利益が増加していれば問題はありません。それぞれ伸び率を比較することが重要になります。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
人材のレベルを高め、高付加価値の事業や業務の比率を高める。又は、事業全体として付加価値を高める。少数精鋭主義の徹底。
・上記を前提として給与・賞与制度の見直し。


(5)固定資産投資効率(固定資産の利益貢献度)

  付加価値  × 100(%)
固定資産

で計算します。

理解するためのポイント
 投資した固定資産が効率よく付加価値をあげているかを示す指標であります。高いほど設備資産が効率良く付加価値を上げていることを示します。例えば、A社は500万円の設備で1000万円の付加価値をあげ、B社は1000万円の設備で1000万円の付加価値をあげている。固定資産投資効率は、A社が200%、B社が100%ということでA社のほうが同じ付加価値をあげるにしても半分の設備でまかなっている。いかに少ない設備で高い付加価値をあげているかが大切になります。なお、リースの利用を増やすことで数字上はこの値を高めることができるが、本質的な問題解決にはならない。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・固定資産の稼働率を高め、非効率設備や遊休施設を減少させる。
・固定資産への投資をしない(または少ない投資)で付加価値額を高める。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかかでしょうか。





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