第31回 経営分析解説―収益性(1)

 経営者にとって「決算書」の見方のポイントを更に分り易く、解説していきます。是非、この機会に「決算書」が経営者にとって身近なものにしていただきたいと思います。


【 収益性 】

 企業経営の目的が「社会貢献度を高めながら利益の極大化を図る」ことにあるとすれば「収益性」を高めることは目的そのものです。また、資本主義経済は投下資本に対してどれだけの収益を生み出すかによって投資対象が選ばれる社会でもあります。このようなことから「収益性」は企業経営そのものを評価するうえで根源的な要素であるといえます。



 
  (1)総資本経常利益率 (%)

経営活動の効率をみており、会社の実力がどれ位かを示します。

経常利益  × 100
総資本


(2)付加価値率 (%)

売上をあげて、直接どれ位儲かるのか、商品力の強さを示します。

付加価値  × 100
売上高


(3)売上高営業利益率 (%)

本来の営業活動によりどれ位儲かるのか、本業の実力を示します。

営業利益  × 100
売上高


(4)売上高経常利益率 (%)

事業活動の成果を判定しており、事業活動全体としての実力を示します。

経常利益  × 100
売上高


(5)売上高支払利息率 (%)

金融費用の負担がどれ位かをみており、金利負担の効率性を示します。

金融費用  × 100
売上高


決算診断提案書における収益性の分析指標

(1)総資本経常利益率(投下資本の利益貢献度)

  経常利益  × 100 (%)
総資本

で計算します。

理解するためのポイント
 企業が使用している投下財産、すなわち総資産が経営活動によってどれだけの利益をあげたかをみる分析項目です。この比率が高いほど企業の収益性が高いということになります。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・経常利益を増やすこと
・総資本(総資産)をできる限りスリム化すること
 具体的には、売掛金の回収を早めたり、不良在庫を処分することなど。


(2)付加価値率(顧客満足度の価値)

  付加価値  × 100 (%)
売上高

で計算します。

理解するためのポイント
 付加価値とは、企業が外部から調達した商品や原材料などに経営資源を活用し創り出した価値である。もともとの価値に付加されたという意味で「付加価値」という。その付加価値が売上高に対してどの位の割合を占めているかを示す指標で、この比率が高いほど、高収益性を実現できる余地があるということになります。

この分析項目の水準を高めるためのポイント
・変動費を引き下げること
 仕入・調達コストを引き下げる、商品・材料のロスを少なくする。
 または商品・サービス力を高め、価格が高くても売れる状況を作り出す。


 是非、この機会に決算診断をしてみては、いかかでしょうか。





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