第19回 損益計算書と貸借対照表の関係は?

 経営者にとって「決算書」の見方のポイントを更に分り易く、解説していきます。
 是非、この機会に「決算書」が経営者にとって身近なものにしていただきたいと思います。



●損益計算書と貸借対照表は深く関係している

 損益計算書は、会社の期首から期末までの経営成績をあらわすものでした。経営成績というのは、どれくらいの費用をかけて商品を仕入れたり製造したりし、どれだけ売り上げたか、その結果いくらの利益を生み出したかを示すものです。

 一方の貸借対照表は、全社の期末における財政状態をあらわすものでした。財政状態というのは、資金の調達と運用の状態のことでした。

 このそれぞれのとりあえずの着眼点については、第12回〜16回で述べたとおりです。
ただ、損益計算書と貸借対照表は、形式がまったく違うので、両者は別々のものだと考える経営者がいるかもしれません。

 しかし実際にはそんなことはないので、ここで損益計算書と貸借対照表の関係について解説していきましょう。


●「未処分利益」でつながる損益計算書と貸借対照表

 損益計算書と貸借対照表は、損益計算書の最後の科目である「当期未処分利益」と、貸借対照表の資本の部の「当期未処分利益」でつながっています。

 会社の損益計算書の各科目の数字は、売上の上がり方、経費のかけ方で日々変化しています。一方の貸借対照表も、借り入れた資金でモノを買えば、負債が減って資産が減って資産が増えます。逆に現金がたまったので借金を返せば、資産が減って負債が減ります。だから貸借対照表のそれぞれの数字も、毎日毎日、日々刻々と変わっています。

 両方とも毎日変化しますが、どの時点の損益計算書と貸借対照表をとっても、この「未処分利益」でお互いにつながっているのです。それが年度末に行われた場合、「当期未処分利益」となるわけです。

 会社としては、売上から諸費用などを差し引いた結果、利益がたくさん残るに越したことはありません。そしてその利益は、財政状態(貸借対照表)では自己資本の増という形になってあらわれるのです。しかし財政状態をあらわす貸借対照表では、どんな理由で利益が増え、自己資本が厚くなったのかがよくわかりません。そこで損益計算書を見れば、「なぜ、当期未処分利益がその金額になったのか」がすぐにわかります。いわば損益計算書は、貸借対照表に表示された利益の説明書という面をもっています。

 だから経営者はフリーキャッシュフローを確保するためにも、キャッシュフローの大もとである営業キャッシュフローを増やすため、本業の営業活動に精を出さなければならないのです。


損益計算書と貸借対照表の関係





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