第112回 会社存続のための売上・利益(3)

 来期の損益分岐点売上高を求めるのにどんなことに注意したらよいのでしょうか?答えは、二つ。

1)来期の固定費をシミュレーションする

人件費計画:人員計画 正社員・パート・アルバイトといった雇用の種類とその人数の計画をしましょう。そして、更に社員さんへの給与額も実際に見積をしていきます。この時できる限り、固定的な人件費は低くするのがポイントです。正社員は少なく、パート・アルバイトの活用を検討しましょう。
 
ii 設備投資計画:新たな設備投資計画をしましょう。「必要最低限の設備投資をする」という視点で検討するのです。設備は中古機の導入も考えてください。そして、この計画から、来期の減価償却費を見積もることができます。更にこの設備に関わる、資金調達による、借入金の金利も忘れずに検討しましょう。
 
iii その他の経費計画:その他の経費には、様々な経費がありますが、計画を組むのに必ず注意しなければならないポイントは、前にも触れましたが、「一つずつの経費について、それが必要経費か不必要経費か」という視点です。そして、この必要か不必要かの区別をもう一度次のように考えましょう。

必要経費:
収益につながる費用。この費用を使うから収益(売上)が増加するというもの

不必要経費:
収益につながらない費用。この費用は、ただの費用にすぎず、いくらこの費用をかけても、収益(売上)の増加には、全く関係のない費用です。


2)来期の変動費率目標を策定する

手順1.
 商品・サービスの売上目標を作成する。

手順2.
 それぞれの商品・サービスの変動費(仕入コスト)率(付加価値率でもよい)の目標を立てて、平均の付加価値率を計算する。

手順3.
 年間の売上目標の合計と年間の付加価値目標が出来たら、平均の変動費率(付加価値率でもよい)を計算する。

 これらを実施する場合のポイントは、1%の変動費の削減、言い換えれば、1%付加価値率の向上にこだわることが必要です。この1%が、売上が大きければ大きいほど最終利益の額が大幅にかわるからです。

 変動費の削減のためには、三社見積・二社発注が基本です。また、今までの仕入先でないところからの見積をしてみましょう。更に、あたらしい、素材などでコストダウンをはかり、変動費率を下げていきましょう。

 固定費の額が決まり、変動費率が決まれば(付加価値率も決まる)、損益分岐点売上高が決まります。売上高目標の金額は、この損益分岐点売上高よりも、高くなるように設定しましょう。最初から赤字の計画は、どんな理由があっても良くないものですから。





Produced By
「決算診断」プロス
株式会社プロス