第10回 年末年始に現金を残すための
キャッシュフロー改善ポイント(1)

 年末年始に向けては、年末商戦の在庫の積み増しや販促費の増加など何かと資金が必要になる時期です。第2回で“決算書における「キャッシュフロー計算書」のポイント”を解説しました。
 キャッシュフローというと難しそうですが、簡単にいいますとキャッシュフローとは、資金の流れ、もしくはその結果としての資金の増減を指します。
 ここでは、年末年始に向けて資金不足にならないためのキャッシュフロー改善ポイントを紹介していきます。


(数字はサンプル企業の例です)


 キャッシュフロー計算書とは、企業活動を「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに分類し、資金の調達・運用を示すものです。
 「営業キャッシュフロー」と「投資キャッシュフロー」を合せて『フリーキャッシュフロー』といいます。
 ・ フリーキャッシュフローがマイナスであれば、財務活動による資金調達が必要です。
 ・ フリーキャッシュフローに余裕があれば、資金不足が生じにくい状態といえます。


キャッシュフローの改善に向けて

 サンプル企業のキャッシュフロー計算書の結果をまとめると、次のようになります。

 A.営業キャッシュフロー     (   −19)万円
 B.投資キャッシュフロー     (  −462)万円
 フリーキャッシュフロー     (  −481)万円・・・(A+B)
 C.財務キャッシュフロー     (   470)万円
   
 キャッシュフロー     (   −11)万円・・・(A+B+C)

 改善のポイントは、会社によって違いがありますが、基本的な考え方があります。
 皆様の会社に合せてご検討下さい。


改善のポイント

(1) 業績(利益)を上げる

 税引前利益+減価償却費=(170)万円を増加させる工夫が最優先になります。
 (税引前利益+減価償却費の合計金額は、最も簡単に資金余裕額を計算する公式です。)
 これを増加させるためには、業績(利益)のアップが必要です。次の3つを検討しチェックして下さい。

検討 1: 固定費(人件費・金利・諸経費など)の削減   できる □   できない □
  <社長の意思で決められる>

   
検討 2: 変動費(仕入・外注費)の削減   できる □   できない □
  <新しい取引先の検討・3社見積の基本徹底>

検討 3: 売上高の増加   できる □   できない □
  <新商品開発、取り扱い・新市場、得意先の開拓・人材育成、採用>

 どうでしたでしょうか?
 まだ「改善のポイント」はありますが、手始めに検討してみてはどうでしょうか。
 次回は、引き続きキャッシュフロー改善に向けてのポイントを解説します。





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