第7回 決算書から  自社の経営体力の基本「6要素診断」
安定性について

 前回で [資金性] を解説しました。
 今回は [安定性] の中味・内容について解説をしていきます。


 安定性とは
バランスのとれた安定した経営が行われているかどうか、さらには、自社を取り巻く経営環境が変化しても耐えうる力がどれ位あるのかをみているものです。常に片寄らない平衡感覚を保つことが成長・発展に不可欠です。



安定性は決算書の
「損益計算書」と「貸借対照表」から見ています。
その関係は下図に示す通りです。





まず(1)の 経営安全率 です。
 不況に耐える力(売上の余裕度)を示します。
 「売上が何%下がっても赤字に転落しないか」その余裕率を表します。
 算式は
  売上高−損益分岐点売上高 ×100  (%) です。
売上高

次に(2)の 労働分配率 です。
 儲け(稼ぎ高)の中でいくら給与になっているか示します。
 ここで、固定費の大きな要素である人件費が付加価値に比べて高すぎると、
 経常利益が固定費に食われてマイナスになってしまいます。
 算式は
  人件費 ×100  (%) です。
付加価値

次に(3)の 借入金依存度 です。
 投下資本がどれ位借入に依存しているかを示します。
 借入金頼みでは、金融費用の負担も大きく、不安定になります。
 算式は
  借入債務 ×100  (%) です。
総資本

次に(4)の 借入月商比率 です。
 借入債務が売上高の何倍かを表し、借入のバランスを示します。
 十分な売上が上がっていれば借入金の返済も苦になりませんが、
 売上が不足すると返済に支障を来たすようになります。
 算式は
  借入債務 ×100  (ヶ月) です。
売上高(月額)

最後に(5)の 預金対借入金比率 です。
 当座の返済能力を示します。
 会社の資産の中で流動性が高いのは、いうまでもなく「現金・預金」です。
 「借入金のうちどれくらいを直接返済できるか」も、会社の「安定性」を
 はかる目安になります。
 算式は
  現金預金 ×100  (%) です。
借入金

以上の算式に則って、自分の会社の [安定性] 状態を把握してみたらどうでしょうか。


次回は [健全性] について、解説をします。





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