第98回 成熟時代にどう経営の舵取りをしていくか!!

 「下山の思想」(五木寛之著)が読まれているようです。「下山」とは、「登山」あっての「下山」です。目指す頂上に達しますと、頂上をきわめた至福の時間に永遠にとどまってはいられないのです。当たり前のことですが、登ったら下りるのです。登るときは必死で、下界を振り返る余裕もなかったかもしれません。でも、下りでは遠くの海を眺めたり、平野の町の遠景を楽しんだり、また足もとの高山植物をみつけたり、岩陰からふと顔を出す野うさぎに微笑するゆとりもあるでしょう。

 自分の来し方や、行く末などをあわせて想ったりもするでしょう。次の登山を夢見て、心が躍ることもあるでしょう。下山にも危険はともないます。下山の途中で雪崩に襲われるようなこともあるでしょう。落石などで足もとをすくわれても、私たちはそこから起ちあがらなければならないことも起こるでしょう。でも、自分の足で歩き出さなければなりません。「登山には必ず下山が伴う」のです。人間も、会社も、社会も、国家も、同じことがいえると思います。

 日本も戦後、高度成長を長い間続けてきました。その後、バブル経済も崩壊し、そしてこの20年はデフレの低成長が続いていました。そこに、1000年に一回の未曾有の大災害の発生。さらには、原発被災に直面し、「下山」の途中で思いがけない大災害に見舞われたのです。少子高齢化、年金、福祉、消費税問題。1000兆円の国債等々。日本経済の「下山の時代」は「成熟期」へとなってきたのです。

 今の時代は正に「成熟化社会」「人間力の時代」「中身で勝負」です。中小企業経営者はこの時代に合った「新しい物差し」をもって経営の舵取りをしていかなくてはなりません。新しい物差し(=価値観)を身につけるためには、常日頃、中小企業経営者としての経営力を高める8つの要素を念頭においた活動をしていくことが大切です。

 その8つの要素は

 1.社長自身・・日常行動での経営者の基本事項が実践されているか

 2.顧客(マーケティング)・・ 新規獲得の仕組みや管理等の他社に負けない施策は何か

 3.商品(サービス)・・ 自社商品(サービス・技術)力を向上させるための施策や管理等は何をしていったらいいか

  4.人材・・社員の採用・教育や定着を高めるには何が必要か

 5.成長性・・ 投下した経営資源(ヒト・モノ・カネ・技術・情報等)が効率よく成長発展に貢献するにはどうしたらいいか

 6.財務・・財務状況の正確な把握と健全財政に向けての行動はどうか

 7.経営管理・・ 現場データを活かした管理や将来に向けての事業計画をどうつくり上げていくか

 8.危機管理・・自社を取り巻く様々なリスクにどう対応していくか

です。

 顧客も仕事も常に変化します。経営者が自分としっかり向かい合って、自分を磨いていかなくてはなりません。これが成熟化社会へのトップとしての有様なのです。経営者自身の「人間力」を高め、「知恵と勇気と行動」で下山の道のりである「成熟化時代」での経営活動を行ってください。

 経営についても人の体と同じように年に一回の健康診断をして、経営状態についての健康度を測り、現状の把握と改善をし、発展に結びつけることが成長のカギとなります。経営者の経営力診断は「マネージメント・パワー」で、会社の経営状況は「決算診断」で定期的に診断し、診断から具体的な改善策を練り、新たな年度に向けての計画づくりに役立てられるのです。


 決算診断の詳細についてはこちらをご覧ください
  → 経営に必要な様々な情報・サービスを提供「決算診断実践会」



Produced By
「決算診断」プロス
株式会社プロス