第86回 「守・破・離」を経営に活かす!!

 乱世の時代といわれる今、過去の成功体験が未来の成功を保障するとは限らない経営環境になってきました。資本人材の乏しい中小企業を舵取りする経営者は毎日不安の中で過ごされていることと思います。そのような中小企業経営者にとって、明日への経営をする上で温故知新ではありませんが、以下のことをご紹介させていただきます。

 茶道の言葉に「守・破・離」があります。守破離とは、約600年前に能を世に広めた世阿弥が修行をする上で人に教えたといわれています。世阿弥自身が父である観阿弥に厳しい教えを受けて、その経験を踏まえてどのように自分の力量が高まったかをまとめた書物として「風姿花伝」が残っています。その中に「守・破・離」が出ています。

 どんな仕事にも大切な基本があります。「守・破・離」の「守」とは大切な基本を「守る」ことです。どんな事をするにも事前準備が大事ですが、仕事をきちんとする上でのウエイトは準備80%・仕上げ20%と言われていますように、基本が徹底していなければ、仕事を完遂することはできません。

 「守・破・離」の「破」とは既成概念を「破る」ことです。そのために、智慧と創造の発揮をすることです。仕事をしていく上で結果が伴わないと継続して仕事をしていくことは困難になってきます。期待できる結果を得られないのは仕事の基本を身につけていないか、身につけていても自分の智慧や創造性を発揮していないからだと思います。基本である事前準備をしっかりと行い、さらに自分の智慧や創造性や工夫を加えることです。乱世の時代である今日は、規則やルールによって誰でも同じように仕事を進めていくことより、智慧や創造性や工夫が仕事に求められているのです。知識社会、あるいは、さらに智慧社会といわれる時代になりつつある今日、知識や情報やノウハウやスキルが非常に大事な時代なのです。

 「守・破・離」の「離」とは離れることを普通一般に意味しますが、ここで意味するところは自分しかできない独自性を持ったときの状態を指すということです。他人の物まねでない独自の発想により、商品・サービスという形にすることができて、はじめて世の中は貴方の会社を承認し、信頼を与えていくのです。中小企業が独自性をもつことは難しいことです。独自性を持つためには、基本に忠実に仕事を行い、その上に智慧・創造性・工夫など、毎日毎日向上心をもって社員が働いていくことです。

 この「守・破・離」を経営に活かし着実に実行していくことが、未来の成功する確率を高められるものと思います。

 中小企業を経営される皆様には、「守・破・離」の考えをしっかり理解し、日々のマネージメントに活かしてほしいと思います。

 そのためには、自分自身の経営に対する思い、考えが、今どの方向を向いているのかを知り、今の自分とこれから望むべき自分との差異をはっきりと掴むことが必要です。決算時に経営姿勢を振り返り、自分自身の棚卸しを行うことが第一歩へとつながっていくのです。しかし、自分を知ることは、自分だけでは難しいということもよくあります。

 そのようなときに、経営に対する思いや行動を簡単な質問に答えることから傾向を導き出し、今の経営者としての自分がどのような状態にあるのかを客観的にとらえることができれば、これからの経営を行う上での羅針盤になってきます。ただ漠然と思い描くのではなく、「社長自身・顧客・商品・人材・成長性・財務・経営管理・危機管理」といった経営に必要な要素ごとにとらえることで、どこに重点を置いて改善するか、具体的なビジョンを思い描くことができるようになります。そのようなサポートが必要な時は、信頼できる経営のサポーターである会計事務所にアドバイスを求められることをお勧めします。




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