第84回 組織の成熟度が強い会社をつくる!!

 今から16年前の1995年に出版された『ビジョナリーカンパニー −時代を超える生存の原則−』(日経BP社)という本があります。内容は、主に米国内において長期間にわたり好業績を上げ続けている企業を調べ、その秘訣、原則のようなものがないかを調査したもので、日本でも多くの経営者に影響を与えるベストセラーとなりました。

  その本のなかに、非常にインパクトのある言葉が書かれています。「時を告げるのではなく、時計をつくる」。好業績を上げるためには、顧客の役に立つこと、高い価値を提供しなければなりません。その価値の見返りとして、企業は利益を得ることができるのです。時計で言えば、正確な時を刻むことはもちろん大切ですが、正確な時を長く刻み続けることは、さらに重要です。そのためにはどうしたらよいのか。それは「よい時計をつくりなさい」ということです。企業で言えば、社会や顧客の要望・期待の変化のなかで、つねに顧客に喜ばれる最高の製品やサービスを提供し続けるために必要なことは、正しい経営をする、よい会社を作ることです。会社とは、結局、人が最大の経営資源であり、その人の集合体が組織です。高い価値を生み出す仕事のやり方、仕組みやシステムも大事ですが、それを改善し続けたり、新たに考え出すのも、人と組織があってこそ実現出来るのです。

  「組織の質」を「組織の成熟度」ととらえたとき、何をどう高めていけばいいのかというと、それは意識と思考力と対話力と実行力です。意識とは、組織の構成メンバー一人ひとりが、組織の目的を共有、共感し、自らも組織に貢献しようとすること。それは命令や管理で強制できないものですから、組織内でのよき語り部、よき聴き手となるリーダーシップが求められます。また未来を考えるときに、状況の変化が激しく、過去の成功体験や知識が通用しなくなっています。仏教で「諸行無常」という言葉があります。これは、この世のすべてのものは変化して止まないという意味です。組織も外部環境の変化に対応できなければ市場から退場するしかないのです。変化に柔軟に対応できる組織をつくり出していかなくてはならないのです。組織の思考力・対話力・実行力を高めていくことが今、求められているのです。

 思考力と対話力は教育・訓練することができます。思考力というのは、自分で考えること。まず現場で求められるのが「論理的思考」。ナゼ・ナゼを繰り返していき、問題対処ではなく問題解決をしていかなければなりません。また問題を掘り下げて考えるのではなく、まったく新しい発想が必要な「創造的思考」も求められます。イノベーションは自由な、突飛なアイデアから生まれるのです。さらに経営者や幹部に求められるのが「弁証法的思考」。顧客満足(CS)なのか利益なのか、効率なのか効果なのかなど、二者択一でとらえてはならない問題、簡単に割り切ることのできない問題を考える深い思考が必要です。

 そして、その思考にあわせて、話し合いの仕方も変わってきます。「対話による知の創造」を目指すには、組織としてそうした話し合いができなければなりません。この実現により組織の対話力が向上していくのです。思考力・対話力だけでは、成果は上がりません。実行によって創造できるのです。思考力・対話力・実行力が組織の成熟度を高め、そのことが外部環境変化に柔軟に対応できる強い会社をつくりだすのです。


 強い会社をつくるためには、経営についても「思考力・対話力・実行力」を発揮し、磐石な組織を作ることが肝心です。そして、その中でも重要なことが経営を考える上で避けて通れない「決算をどう読み解くか」ということです。会計の専門家である税理士・会計士が経営者にわかるように決算を分析・解説し、十分に対話することによって将来の経営について思考する基礎が固められます。そして、検討した結果をきちんとした計画に具体化することで実行に結びつくのです。会計の専門家と十分対話し、納得のいく戦略を考えることが強い会社への第一歩となるのです。

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