第79回 中小企業の「経営品質」を考える!!

 よく品質という言葉を使うときは、一般には「モノのよしあし」を指します。たしかに製品などモノの場合に使うことが多い言葉ですが、最近では「サービスの品質」など、形のないものに対しても使います。英語ではクオリティ。「目的や基準に対する適切さの状態」を意味します。つまり品質がよいか悪いかは、目的や基準がなければ判断できないものなのです。企業経営においても、この 品質の考えを持つことが重要なのではないでしょうか。

 製品やサービスのよしあしを最終的に判断するのはお客様です。お客様ひとりひとりが持っている知覚品質(顧客が感じる判断基準)によって決まります。提供する側は、自分たちのお客様は誰で、どんな要求や期待を持っているのかを理解しなければなりません。

 では経営という言葉の意味はどうでしょうか。営は営むですが、経は縦糸。「大元を定める」という意味があります。経営とは、例えば何か建物を建てようとするとき、構想を練って設計図を作り、図面通りに糸(経糸)を張って、その糸に沿って建物を建てていくことに似ていると言います。つまり、「目的や思い、夢があって、それをどのように実現していくのかという構想を作り(ここまでが経)、それを実行して、成果を出すこと(これが営)」なのです。ここでまず重要になるのが目的です。「何のため、誰のため」に自分たちは在るのかを明確にしなければなりません。わが社のミッション(使命)、バリュー(価値観)、ビジョン(将来展望)を常に考えての経営が現在、問われているのです。

 日本で昔から言われてきた「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」に対応するように、ピーター・ドラッカーは約50年前に、「事業の目的は顧客の創造である。利益は目的ではなく手段である」とし、それまでの経済学の常識である「企業は利潤を最大化するためのもの」という考え方から大きく舵をきりました。つまり経営の品質とは、「企業・組織の目的に対する適切さの状態」を意味するのです。

 適切な状態を把握するために、「考動会計」があります。

 特に、中小企業経営をする上での基本の確認を「マネージメントパワー」で行い、その考えのもとに実行した成果の分析を「決算診断」で把握し、さらに経営の品質を高めていくための経営課題を明確化し、改善策として「事業計画」で具体的な計画に落とし込み、実行していく。その実行度合いの確認を毎月、四半期に行っていく。このサイクルを継続的に実行していくことで、経営の品質が向上していくのです。




 現代における経営を考えたとき、社会的意義を果たし、かつ企業が永続(ゴーイング・コンサーン)するためには、過去の成功に過度に期待しすぎることなく、未来に向けて自社がどう動くべきかの方向をしっかりと見据えて行動することが大切です。そのような時、経営の羅針盤となるのが会計であり、会計により現状を把握して次にどのような行動を起こすかを決め、決めた計画を着実に実行していく「考え」「動く」ことです。是非「考動会計」を実践され、激動の時代を切り開いてください。


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