第75回 近江商人の「三方よし」と二宮尊徳翁の教え

 近江商人の教えに、「三方よし」という言い方があります。売り手よし、買い手よし、世間よし。自分だけ良ければいいというのは、日本本来の価値ではなかったはずです。相手の幸せを無視したやり方では、決して、会社の評価は高まってこないと思います。

 また、二宮尊徳翁が残された言葉に

  遠きをはかる者は富み
  近くをはかる者は貧す
  それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を買う
  まして春まきて秋実る物をおいてをや
  故に富有り
  近くをはかる者は
  春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
  唯眼前の利に迷うてまかずして取り
  植えずして刈り取る事のみ眼につく
  故に貧窮す

があります。どうしても目先のことで手がいっぱいになりがちなことは誰にもありますが、うまくいくことはその逆で、常に将来を見据えてよく考えて手を打っていくのが大切なことです。一寸先がどうなるか分からないのが経営です。

 でも、そこにどれだけ種まきができるか。それに耐えうるかによって、時期が来れば大きな果実を得ることが可能になってくるのです。目先のことしか行っていないと、収穫できるものが限られたり、不十分でも刈り取るしかなくなってしまうのです。これは、商品開発のことだけではなく、会社のファンづくりにも言えることです。一朝一夕にはできないことです。

  「会社の売上」=「営業力」×「商品力」です。

 「営業力」を上げるためには、「・営業に力を入れる・お客様を増やす・固定客を増やす」ことです。これらのことを実現していくためには、常にお客様志向でなくてはなりません。お客様満足から、さらに感動満足へと考え行動できるかにかかってくるのです。

 「商品力」を高めていくには、「・有形・無形の商品・サービスです・継続的に喜ばれる・お客様が口コミで伝えてくれる」ことです。「商品力」を構成する「単価」と「品質」のバランスを「お客様の喜び」の実現になれるように考えていくことです。何よりも大事なことはお客様と信頼できる人間関係をしっかりと固めることです。

 儲かるとは、信ずる者を増やしていくことです。そのために会社のファンづくりをしていくのです。近江商人の「三方よし」と二宮尊徳翁の教えを、是非とも参考されて、これから百年企業としての会社づくりを行っていただければと思います。





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