第69回 お客様の感情を動かす!!

 競争はあらゆる所にあります。どの業種においても低価格攻勢が激しさを増しています。そのような状況では、他社がそうしているからと追従的に値下げては、自滅するだけです。では、いかにしてお客に自社の価格を支持してもらえるようにするか。地域の他店よりも高くてもお客は納得するケースもあります。大手家電量販店との安値競争に背を向け、真心のこもった姿勢で顧客にとことん尽くすワン・トゥ・ワンのサービスで「高売り」戦略を貫いている会社もあります。徹底的な密度の濃い顧客サービスを売りにしています。他者は安さを売り物にしていますが、その会社は他社の価格を気にしません。事実、ハイビジョンテレビで比較したところ、同社の商品は周辺の量販店に比べて2〜3割りは高いそうです。また荒利益率を見ても、大手家電量販店が20%。一般的なまちの電器店でも30%のところでも、同社はなんと35%を得ています。 会社を維持していくのに必要な荒利を確保できる価格設定をしているのです。

 この価格をお客が納得する理由はどこにあるのでしょうか?「うちのお客さまは値段でうちの商品を判断しません。うちの存在がなくなると困るから、よそより高くても買ってくれます。それには、お客さまに日ごろからトコトン尽くすという前提があります。例えば、冷蔵庫が壊れたといえば、すぐにトンデ行くのは当たり前!それだけではなく氷まで持って行きます。大掃除でタンスを動かすとなれば喜んで手伝いに行きます。お客さまは困ったときに気軽にうちに電話してきてくれます。そういう地域のお客さまとのつながりを最も大切にしているのです」とその会社の社長は語っています。

 その極意は「御用達」ということを大事にすることです。御用を達することです。この地域に困っている人たちに「あつらえる」ものを出していくのです。まさしく「目から鱗(うろこ)」です!!

 まちの小売店が生き残るためには、「地域に溶け込むこと」とその会社の社長は強調します。お客が困っていることを自分ができる範囲で徹底的にやらせていただく。それは地域顧客の深耕作戦です。金鉱掘りのようにあっちこっち掘っていくのではなく、「井戸掘り」のように信じる道を深くまっすぐに掘っていきます。そうしたブレのない経営姿勢の継続がその会社の強さの秘密だと思います。

 この考え方は、他の業種の中小企業にも当てはまると思います。

 ●人の感情を動かす
 ●顧客に興味をもっていただける
 ●記憶に残る
 ●オンリーワンになれる
 ●ファンになってもらえる
 ●口コミなどでよさを伝える
 ●コミュニケーションで共感を得られる

などなどで様々なメリットを得られるのです。

 ビジネスの基本は人と人とのつながりです。そのつながりを大切のする会社は、どのような不況が来ようが、お客様の信用・信頼の絆によって継続できるのです。そのためには、経営者である社長が、常に、恩と感謝の気持ちを忘れず、謙虚さを持って経営の舵取りをしていく必要があります。

 忙しい毎日の中で自らを省みる機会を意識して作ることができれば、自分の考え・思いのブレを発見でき、向上心を持って高い価値観で経営にのぞむことができます。年に一度は社長自身の経営力を「マネージメント・パワー」で診断し、向上し続けることが企業経営を成功に導くのです。





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