第63回 100年企業を目指す中小企業経営者に
求められる「経営力」とは!

 米国サブプライム危機に端を発した世界大恐慌は、瞬く間に産業恐慌、生活恐慌までに至る「100年に一度の大激震」の様相を呈しています。多くの企業が困難に直面し、そこで働く人の生活までもが脅かされています。

 しかし、中小企業の経営環境を考えた場合、常に慢性的な不況が昭和のバブル経済破綻からの「100年に一度の危機」と言われる今日までの20年間がずっと続いているのではないでしょうか?


 たとえば、製造下請け企業であれば、毎年、親企業からのコストダウン要求により粗利益が削られ慢性的な赤字体質に陥って最終的には良くて廃業、最悪は倒産の事態になったり、小売業であれば、大型ショッピングモールの出店等の影響で地元の顧客を取られて売上が激減して経営が成り立っていかなくなってしまい、店をたたんでしまうという事例等に事欠かない20年間だったと思います。


 中小企業の経営は、経営者の意欲と実力によって支えられています。その経営者が経営の意欲を失ったり、自分の実力を超える危機が来ていると経営者自身が判断したときには、まだ企業に能力も余裕も残っているにもかかわらず、未来に向けて勇気を持って行動していくことも目の前の今も生きていくことができなくなってしまうのだと思います。

 特に「経営をしているのは生活のためです」とはっきり言い切ってしまう企業は、この厳しい不況によって経営が立ち行かなくなったときに、企業を潰すか、廃業するしか選択の余地が残されていないのが現実だと思います。

 中小企業の経営者は多くのブレーンや相談相手を持っているわけでもなく、最終的に決断を下さなくてはなりません。経営者が孤独だと言われるゆえんです。自分の会社は自分で守るしかないのです。


 この100年に一度の危機的経経営環境下で中小経営者にとって必要な「経営力」判断・勇気・行動です。


1.判断

 世界金融の破綻により、住宅はダメ、自動車は売れない、給料も増えない。増えないばかりか多くの人がリストラの恐怖に怯えている、今までの人々の考え方やライフスタイルが通じなくなってしまった時代です。現状維持でよしとする安全策の経営ではとても生き残れなくなってきました。時には社運を賭けたリスクも覚悟の上でチャレンジが必要になってきます。そのときに経営者に求められるのが、冷静な判断力です。情報を収集し、そこから今の経営に必要なものだけを取捨選択し、時流を読み、自社の経営体力を知り、そこに自らの経営理念を加える。そうした事前準備をしっかりしておいて、いくつかの選択肢のなかから最も正しい方向を選択する。この判断力に磨きをかけておくことが重要です。


2.勇気

 情報を収集し、周到な準備をし、成算を見込んだチャレンジでも成功するとは限りません。自ら選択し決定した方向を絶対に成功させるという断固とした強い思いを貫く勇気が必要です。

 反対勢力が出現することも予想されますが、信念を持って自分の決めた方向に舵取りを切っていく勇気が大切です。


3.行動

 勇気をもって下した決断を、社員に示し会社を同じ方向に進めていくのは行動です。経営者の率先垂範による行動により社員のやる気が高まり同じ方向(=目標)に向って一緒に歩んでいけるのです。


 これらの判断・勇気・行動により会社を守り、成長させていくためにも中小企業経営者として何をしていったらいいのかを「マネージメント・パワー」を自己診断することで確認をしてみてください。







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