第61回 企業経営者として、本物を目指す!!

 何の道であれ、プロとして大事なことは、「いちずに一本道」を目指すことです。企業経営を運営する者にとって「社長の道」が大事です。

 経営コンサルタントの船井幸雄氏の言われていることに「世の中の仕組みを変えよう」ということがあります。


 近代資本主義の担い手である企業は、前年よりも売り上げを伸ばさなければならないし、利益を増やさなければならないのが、いまの経済の仕組みです。しかし、このまま売り上げと利益を伸ばし続けることは難しくなってきていますし、それを継続するとすれば、人類の将来を早くつぶしてしまうことにつながると思われます。そういう点で、これからは「世の中の仕組みを変えなければならない」と思っています。そのヒントはいくつかあります。

 ●  第一にいえるのは、正しい人間の生き方を知り、それを実現することです。正しい生き方は、人間の特性を見ればおのずとわかります。人間の特性とは次の三つです。
  (1) 人間は地球上の生命体全ての遺伝子を持っており、地球上の全ての生命体の運命に責任をもたなければならない存在である。
  (2) 理性的存在であるということ。知的生命体としては、いまの人間はまだエゴの段階を抜けきっていませんが、努力してエゴを少なくすればよいのです。競争から共生への転換がどこまでできるかがこれからの試金石となるでしょう。
  (3) 人間は学習し、頭をよくすることができる。学習によって、知識や技術を習得し、それによって世のため、人のために尽くす生き方ができるはずです。
   この3つの人間の特性にそって生きることが正しい生き方です。正しい生き方以外にはこれから人類が生き延びる道は残されていないと思えてなりません。

 ●  第二の方法は自然の掟にしたがうことです。これだけ進んだ文明社会でも、人間は明日の天気一つ変えられないのです。この事実を謙虚に受け止めて、自然の掟に逆らわないことが大切だといえます。

 ●  第三のヒントは、本物を知ることです。いまは本物を知らない人がまだまだ多いために、本物が世に出にくいともいえます。本物の価値がわからないのです。本物かどうかは、それによって蘇生化するか崩壊化するかでわかります。いまこそ私たちは、本物を識別する目を養う必要があります。
 本物のよさを知りますと、いまの世の中の仕組みがいかに薄っぺらで、しかも崩壊化をもたらすものかがわかるでしょう。本物を知るには、本物に近づくしかありません。「誰が見ても真善美だと思うものが本物だ」と、かつてある素晴らしい経営者から教えていただいたことがあります。本物の特性は、周囲に溶け込んで、目立たないことです。しかし、よく見てみるとたしかに調和し、真善美を体現しているのです。

 ●  第四は、考え方を変えることです。どんなことも肯定、感謝、プラス発想するように変えるのです。世の中に生起することは、すべて必要、必然でベストのことであると考えるのです。このように考えますと、すべてのことが愉しみとなるように思います。人間は生来、人生を愉しむために生まれてきたのですから、この考えに立つことがもっとも自然です。そしてもっとも正しい本物の生き方なのです。何がどうあっても、愉しく生きたいものです。
 人間は、本来何をやってもいいのです。私たちに創造主がいるとすれば、創造主は私たちに原則自由を許しています。共産主義がつぶれ資本主義が残ったのは、自由を認める資本主義の方が自然の掟に合致していたからです。そして、さらにその本質に合致させるべく、世の中の仕組みを変えるよう促されているのだと思います。


 繰り返し繰り返し、企業の不祥事の報道が絶えることはありません。これは企業のトップである社長自身が極端な言い方かもしれませんが、正しい本物の生き方をされていないことに原因があるのだと思います。大企業では不適格と判断されたトップは交代してやり直しを図れますが、中小企業ではそうはいきません。中小企業の社長は常に自分の考え・行動が経営者として適切であるかを自分自身でチェックしていき、本物の行き方を目指していってほしいと思います。その際に、マネージメント・パワーの48の質問項目は社長としての考え・行動をしているかの反省ができるものと思います。経営者として本物の生き方ができるようにじっくり目を通されてみてはいかがでしょうか。







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