第60回 現代産業の象徴である「クルマ文化」が大きく変わった!!

 私たちが若い時、アメリカの自動車はキャデラックに象徴され、夢、希望、あこがれの象徴だった。そのアメリカのクルマ社会の豊かさが、世界に広がり、日本も豊かな社会を作ることができたのです。まさにクルマは、鉄鋼産業、電機産業、建設から運輸、サービス等々その裾野は広く、働く人達から、社会や文化を作っていったのです。

 そのクルマ産業が世界の政治・経済・社会をゆるがしているのです。アメリカ自動車大手のビックスリーが経営破綻の瀬戸際まで追いつめられています。「20世紀米国」の繁栄を象徴する産業を衰退させたのは誰か!犯人探しのために「政治家と経営者。従業員!等々」の非難合戦が続いています。

 上院は、「救済法案を否決」を選択し、「無駄な融資にならない」ということを示す必要があったのです。上院がこだわったのは「高コスト体質の改善」を着手することの確約でした。

 例えば、従業員の給与と退職者向けの年金や医療コストは、競争力を著しく低下させていると指摘されてきました。それが、計算単位あたり71ドルという労働コストになり、日本など海外メーカーの49ドルよりも重い負担となって競争力の低下を招いていました。上院は、2009年中に日本メーカーと同水準まで下げるべきだと主張しましたが、2011年までの賃下げを許さないという主張をしている全米自動車労働組合(UAW)が最後まで譲らなかった。経営者側も、自家用ジェット機でワシントンに乗っていき全米世論の非難を浴びました。

 それぞれの立場があります。しかし、今こそ苦難を乗り切るためには、3者1体一丸となって再生していくことが大事なようです。クルマ作りに問題があったと、技術者達は見抜いていました。「時代の変化への対応ができなかったクルマに、大きな問題もあるようです。世界のクルマは、共通なマーケットの中にあります。日本のクルマとアメリカのクルマの品質も価値も」「省エネ」や「環境問題」などお客様の見方は大きく変化してきています。

 国内に目を向けてみれば、昨年度最高の利益を上げたトヨタが今年度は坂から転げ落ちるように「まさか」の赤字に転落です。その影響で契約社員の首切りや下請け企業へのコストダウン要求等で地元経済に大きな影響が出ています。また、その他の日産、ホンダ、いすゞ、等々でも同様です。まさしく全世界でクルマ文化に大きな変化が生じています。一般庶民にとってクルマは欲しい物の象徴でありました。そのクルマが欲しくても生活不安から手が出せない状況になっています。また、クルマ産業に従事していれば生活は安泰であると誰しもが信じていました。その信頼が揺らいでいます。物による充足の価値の時代から、心理的な充足の価値の時代へ世の中が変化してきているようです。心理の重要なビジョンは「信じる」ことです。良い、悪い、好き、嫌いの判断を超えて「信じる・信じない」へと、判断基準が変わっています。

 「信じたい」価値観の時代です。オバマ新大統領を生んだ「イエス・ウィ・キャン」の一斉同調の時代が「信じたい症候群」に入ったことを証明しているではないでしょうか。心理の時代の最大のモチベーションは「信じたい症候群」信じましょう。そこにアメリカの自動車産業にあり、そして全世界に「ものの見方」が変わってくると思うのです。

 中小企業経営者の皆さんもよく言われている100年に一度の大不況の時代に自分の会社を良くするのは自分しかいない、自分が経営の舵取りをしていけばきっと良くなると「信じて」、今年一年、頑張っていってください。

 自分の経営力を「信じる」上で、「マネージメントパワー」を年頭に実施されてみてはいかがでしょうか。





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