第58回 何事にも賞味期限がある!!

 食品にも、製品にも、企業にも、人にも、賞味期限があるようです。

 食品には「賞味期限」と「消費期限」があります。「賞味期限」とはおいしく食べられる期限を示しており、期限を過ぎても直ちに食べられなくなるとは限らず、保存状態や調理法を考えれば、創造と工夫で利用できるものです。

 しかし、「賞味期限」が切れた食品をすすんで食べる気にならないのも事実です。

 一方、「消費期限」は肉・刺身・惣菜などの日持ちしない食品に設けられており、一定の安全性を考慮して設定されていると思いますが、「消費期限」切れの食品を食べるのはかなり勇気のいることです。

 企業でも成功した技術、商品や経営手法が、「消費期限」はさておき、「賞味期限」がきても気づかなかったり、気づいても過去の成功体験が障害となって捨てられない、やめられないことが多いのではないでしょうか?

 例えば、先代からやっている会社、親父が始めた会社など、そのときは時代に合った「やり方」で成長発展してお客様あっての企業であり、お客様で繁昌して来ました。しかし、今はさびれてしまい、その町の「○○○店」と老舗の有名なお店も、今はなくなってしまっている事が多いと思います。「賞味期限」が来たのに気づかずにいたからだと思います。「もしかして、三越も?高島屋?松坂屋も?」やがて名前が変わる次代が来るかも知れません。

 企業は変化への対応にトップ・社員一丸となってやらないと時代の変化に対応しきれず「賞味期限」になってしまうと思います。将来の環境変化に備えて変革に挑戦するには、大変なエネルギーが必要です。

 「松下電器」のナショナルブランドも「賞味期限」が到来したのではないでしょうか。出遅れを挽回するために、ブランド戦略見直しで大がかりな社内改革を行いました。売上世界ランキング「5位」の大メーカーであるにもかかわらず、世界でのブランド価値ランキングは「78位」と認知度が低く、松下の規模とブランド力の乖離が大きくかけ離れていたことに、将来への発展に危機感をもっていました。そこでブランドを「パナソニック」に統一したのです。

 大企業ですら「賞味期限」を考えなくてはならない時代です。中小企業も当然、「賞味期限」を考えた経営を真剣に取り組んでいかなくてはならないと思います。今の商品は、技術は、経営のあり方などの「賞味期限」はどうなのかを・・・?何もしなかったならば、企業も社会から消え去るだけです。お客様の厳しい目に応え、お客様のニーズも的確に捉えて自分の会社を変えていく。ニーズに応える小回りのきく中小企業には、大きなチャンスがあるのと信じています。

 人にも「賞味期限」がある。「青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ・・・人は信念と共に若く・・・・・・」(サミュエル・ウルマンの青春の詩)人それぞれにちがいはあるが、年を取れば体力も衰えるし、場合によっては気力も減退するので、若い時のようにはいかなくなります。しかし、幸いにして人間の場合は、本人の努力で「賞味期限」の延長が可能だと思います。深い洞察力と日頃の研さんに基づき、長い間の経験と努力で身につけた「匠の技」に更に磨きをかけていくと、輝く素晴らしい人間となり社会全体の財産にもなるのです。

 中小企業の経営者の皆さんも実年齢ではなく、経営者年齢を若く保ち、経営者としての「賞味期限」の延長を可能にするために、「マネージメント・パワー」を実施して、自分の経営力の確認をしていってください。





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