第46回 経理(経営管理)なくして経営なし!!

 戦国時代の名将「信長、秀吉、家康 等々」の経営のあり方は、今の経営者にとって多くの共通点があります。彼らは、「領地を守り、領民を豊かにする」ために戦ったのです。

 戦略、戦術、経営手腕、人間管理法は、時代は変わってもトップの本質は変わらないのです。企業にとって、商品(サービス)を「つくる」、「売る」、「管理する」は、必須条件です。ところが、中小企業では、「つくる」、「売る」が最優先されてしまい、忘れがちになるのが「管理する」です。会社が潰れ、倒産するのは、内部に多くの原因があります。創業300年を誇る「赤福」にしてみても、「売る・つくる」ことばかりが優先されて、「管理する」の「コンプライアンス」がおろそかになってしまったようです。

 NHKの大河ドラマに「風林火山」があります。武田信玄、山本勘助の戦国ドラマです。企業経営に参考になる点が多くあるので、ご覧になっている方も多いと思います。

 武田信玄は、人間観察や人心掌握に長けていたと言われ、部下の欠点を長所に変えたエピソードを多く残しています。そのひとつに、武田家中に「岩間大蔵左衛門」という武士のエピソードがあります。彼は、豪気が求められる戦後時代において、刃物屋の看板を見るだけで身体が震えだすという大変な臆病者でした。臆病者ではその時代では役に立たず軽蔑され、存在価値すら認められません。

 そこで重臣たちは、彼に勇気をつけてやろうとある合戦の最前線に立たせました。ところが、彼は、その期待に応えるどころか、怯えて戦線離脱をしてしまったのです。その様子を見た重臣が、信玄に「お屋形様、あのような者は武田家の恥です。即刻、追放なされませ」と進言しました。

 しかし、信玄は、「いや、待て。臆病というのはただ小心なだけではなく、気持ちが細やかなことによるものだ。その良きところを活かしてやれば、他に使い道があるはずだ」。そこで、信玄は、考え抜いた末、大蔵左衛門を「訴求係」の役に任じました。訴求係とは、家中の同行を探り、不正や悪事があったら上司に報告する「隠し目付」の役回りです。現代に置き換えると「経理・人事・労務等」の課長といったところでしょう。

 武田信玄は、家臣の意見を大事にしていました。しかし、家臣が功名心のため独断専行されたり、「報告・連絡・相談」がうまくいかず、情報が正確に届かなかったことのまずさも多くあったようです。そこで、大蔵左衛門が「管理担当役」となり任務を全うしたために、家中がいい意味での緊張感が漂い、「報告・連絡・相談」のコミュニケーションの強化に繋がったといいます。

 信玄は、「人は城、人は石垣、人は掘」という名言を残していますが、人が必ずどこかに取り柄があるものです。その長所を引き出し。適材適所に人を配したところに、信玄の偉大さを発揮されて来たのです。

 経営者の皆様も自分の会社の内部を見渡して、隠れた人材を発掘され、このエピソードにあるように「経理(経営管理)」をキチンとされ、経営を磐石なものにしていってください。

 そのためにも、経営者としての人材力がどのようかを「マネージメント・パワー」で確認してみてください。





Produced By
「決算診断」プロス
株式会社プロス