第44回 会社の「経営理念」を考える!!

 ピーター・ドラッカーは、経営の目的を「顧客の創造と、維持である」と言っています。 まさにその通りであると思います。

 よく企業は、30年で潰れると言われます。何故、そう言われるかの根拠の一つに、ライフスタイルに伴う商品寿命の問題があります。

 また、創業経営者の後継問題があります。これらの問題を乗り越えていくのが、思った以上に困難なために、企業は30年の期間で潰れやすいのです。だからこそ、ドラッカーの言う経営の目的である「顧客の創造と、維持である」ことを常にトップが忘れずに日々の経営活動をしていく必要があるのです。このことを実行している企業が「ゴーイングコンサーン(継続企業)」として存在しているのでしょう。

 そのために必要になってくるのが、経営理念の存在でしょう。経営理念は、経営者の会社経営に対する思いの結集であると思います。

 創業経営者が会社を興したときの思いから、社会への貢献等の思いへと、経営理念は、進化していくのものが経営理念ではないでしょうか? いかに立派な経営理念であっても、会社の全体の行動が伴っていかないと、絵に描いた餅で終わってしまうのです。そこが、経営者が本物であるかの分岐点なのでしょう。

 経営理念に役割には、以下の6項目があると思います。

1.経営理念は、社員を同じベクトルの方向に向わせる力を持つ
 同じ会社に勤めているからといって、全社員が同じ方向を向いて仕事をしているとは限りません。人はそれぞれ価値観が違うために各人の価値観に任せてしまうとバラバラな方向を向いてしまうのは当たり前なのです。だから、経営理念は価値観の違う社員を、個々人の立場を超えて、会社の目指すべき方向ぬ向わせる役割を持っています。

2.経営理念は、すべての判断の基準、行動の指針になる
 何か問題が起きたときや事件が起こったときに、働いている社員の判断がバラバラでは企業の存在価値が問われます。企業として全員誰もが同じ判断基準で行動していくために、経営理念の役割が必要になってくるのです。

3.経営理念はビジネスチャンスを生み出す
 「経営理念は戦略を生み出すものでなければならない」ということです。経営理念は、その企業独特の価値、その企業独特のビジネスモデル、独特の商品・サービスをうみだすものでなくてはなりません。

4.経営理念は、経営者の意志と行動を示す
 経営者は経営理念のよって、「我が社はこういう方向に行く」と全社員に示す必要があります。経営理念は、会社がどの方向に進むのかを示す指針の役割を持っています。

5.経営理念は、個人の士気を高め、存在の拠りどころとなる
 全社員が「そうだ。こんなところで落ち込んで泣いてはいられない。
よし、頑張っていこう。」と思うことの力を与えるものが経営理念です。
経営理念とは会社と自分の仕事の存在の拠りどころの役割になるものです。

6.経営理念は羅針盤の役割を果たす
 経営とは、五年十年努力したから人が育ち、社風がよくなり、売上が上がり、業績がよくなるものではないかもしれません。しかし、人が十年であきらめるところを自分は二十年頑張ろう。人が二十年であきらめるところを自分の理念を信じて三十年続けよう。三十年でだめなら四十年やってみよう。それぐらいの執念を持って行うのが経営です。



 いかがでしたでしょうか? 企業にとって「経営理念」の持つ意味合いを少しでもご理解していただけたでしょうか。

 是非、自社の「経営理念」をこの機会に見直しされてみてはいかがでしょうか。





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