第35回 決算書は、気づきと実践の「師」である

 師走に入り、各人が今年一年を振り返って反省をされていることと思いますが、会社にとっての振り返りは「決算」です。決算は、一年を振り返って、計画や目標は実際にどうなったか、社長が知りたい「原因と結果」が全て入っています。

 どこが良かったか? どの点が悪かったか? 自社の長所と欠点は?強みは、弱みは、等々のことを気づかせてくれます。だから、決算は経営者にとって大事なのです。

 会社の最終決定をされる経営者は孤独です。

 全て責任は自分が負います。自社の経営上の悩みに対しての答えを客観的に判断してくれる人はいません。師を持つことの大切さはわかっていても、なかなか師に出会えることは少ないです。

 しかし、よくよく考えてみると、経営者には自分の経営活動の鏡である「決算書」という凄い「師」がいます。

 一年間の経営者の行動の結果を数字が語りかけてくれます。できることなら見たくない、知りたくないという結果もあるでしょう。できることなら逃げ出したいと思うこともあるでしょう。でも、そういう気持ちを抑えて、決算書と「カッ」と目を大きく開いて対話すれば、今後の経営の一手を教えてくれるはずです。

 また、決算にはもう一つ大事なことがあります。それは、決算は「現場を現している」ということです。会社の現状を知り、今、何が課題なのかをしっかり捉えることができるのです。決算書は会社の経営を全て物語っているのです。

 経営者にとって、会社の現場を知らないと決算がわからなくなってきます。逆に、決算を知らないと、会社の現場もわからなくなってしまいます。常に会社の現場と決算の相関関係を知ることが、とても大事です。

 経営者が現場を知らなかったために、今も昔も数え切れない多くの不祥事が起きています。現在、マスコミを騒がしている経済事件もその一例でしょう。トップが内部を知らないと、内部告発が出てきます。経営者が現場を知らないと、本当に「まさか」という大変なことが起きてきます。

 経営者が現場を把握して強い力を持つか、持たないかによって会社のこれからの運命が大きく左右されます。

 そのためにも、経営者は現場の全ての活動の結果を表している決算書をしっかり読める力を身につけなければなりません。

 今後、ますます金融機関対策が厳しくなってきます。決算書は、その対策にとっても生命線となってきます。来年からは本決算のみならず、四半期決算の分析・評価等が金融機関からされるようになることが予想されます。決算書が今年以上に重要視される年になってくる傾向にあります。金融機関はリスク管理体制を強化するなかで、企業業績をしっかり把握して融資を行なう姿勢に変わってきています。

 是非、年末のこの時期に決算書の内容を理解できる力を養っていってください。





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