第33回 優秀な経営者は「原因自分説」で考える

 優秀な経営者にはマイナスをプラスに変える勇気を持っています。

 その勇気は、「原因自分説」から生まれます。「自省の心」を常に忘れずにいれば、社内の改善に対する意識が高まり、企業体質も強くなっていきます。失敗の原因を外部に求めても、誰も助けてくれないのが経営です。

 日頃から自己責任経営という立場で行動していれば、道は開けてくるものです。

 そのために大事なことが二つあります。

● 固定観念をなくすこと。
● 日々の経営活動の反芻です。

 まず、固定観念をなくすことですが、ピーター・ドラッカーは「未来を予測することはできない。しかし、人間は未来を予測する生き物である」と言っています。経営は未来の変化を予測します。そして、制度も組織も変わります。お客様も変わってきます。固定観念をなくす上で必要な4項目があります。

固定観念をなくす上での4項目
1.常識を疑ってみる ・・・ 「当然だよ」「こうあるべき」といった思い込みを排除して白紙な心の状態で物事を考えます。
2.現在のやり方を疑ってみる ・・・ 現状の仕事のやり方、経営の仕方が実情にあった適切なものかどうかもう一度考えてみます。
3.立場を変えて考える ・・・ 製造業なら購入者の立場、利用する立場から考えてみます。
4.反対から考える
  物事の両面を見る
・・・ 物事を一面だけから見て判断せず、必ず両面を見て考えてみます。(長所と短所、目的と手段等)
 

 次に、日々の経営活動の反芻です。経営の神様の松下幸之助氏は生前、「布団のなかに入ったら、一時間はその日のことを振り返って、考え、検討せんとあかんで。布団に入ってすぐ寝たらあかん。」と、言っていたそうです。実際、松下幸之助氏は毎晩、その日の出来事を反芻していたといいます。プロの経営者とアマの経営者の違いは、日々の商売で感じた喜びや疑問について、真摯にその意味を考えぬくことにあると思います。

 オリンピック代表選手団のコーチの話です。オリンピックに選ばれる選手は誰しも素質に恵まれています。その中で頭角を現わし、メダルの取れる選手は共通点があるそうです。それは、練習や試合が終わるたびに「今日、どこがうまくいったのか?どこが失敗したのか?」を振り返るクセを持っていることだそうです。

 「練習を終えた帰宅の電車のなかで」「試合が終わった控え室で」「お風呂に入っているときに」・・・。常に振り返る。何百回、何千回という「振り返る」の積み重ねが、長い年月を経て大きな差になっていきます。反対にいくら素質があっても、成果のでない選手は「練習しっぱなし」「試合しっぱなし」の日々を長年過ごしていってしまう。

 そして、振り返ることをしない選手は、年月とともに成績も下がってその場から離れていくのだそうです。

 松下幸之助氏の「日々の出来事の反芻」も、オリンピック選手の「振り返るクセ」もまったく同じことを言っています。もちろん、このことは経営者にも通じることです。

 経営の責任を自らに課す「原因自分説」の考えで、日々の経営活動を振り返り、反芻して、自分の会社が未来に向けて成長できるよう、頑張っていってください。





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